果たして我々が首を突っ込んでいいものなのだろうか。
スヤスヤと眠り続ける、人間かもわからない少年を見下ろす。
そう頭を悩ませていると、
少女が、彼の頬をバシバシ叩いた。
案の定、少年は背もたれにしていた壁からズルッと滑って崩れ落ちた。
顔を顰めて起き上がった少年と私の目が合った。
酷く驚いたように後ずさられる。
なんて言っているのかわからないが、混乱しているようだ。
先ほどの冷たい視線が嘘のようだ。
今は年相応の普通の人間に見える。
これなら、多少は話ができるのでは……?
壬氏様を見ると、コクリと頷かれた。よし……。
静かに壬氏様からの拳骨を食らった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。