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第1話

1(⚠️自殺.虐待の表現有り)
212
2024/04/01 07:04
街灯の光に照らされた公園の時計を見ると午後8時半を回っていた。
春だから少し肌寒いけど、もうそれを気にするのも今日まで。
公園のひんやりとしたベンチに座って今僕が書いているのは最期の手紙。
今日は中学校の入学式だったけど抜け出して来た。まあ来てくれる人は誰一人として居ないし、今日で僕はもう居なくなるから。
死ぬまで迷惑しかかけない人生だったな。
いや、死んでもか。でももう引き返そうなんて思わない。だって今帰ったら「遅い」ってお母さんの彼氏に殴られるし。

多分もう何処にも僕の居場所なんて存在しない。
だからもうこれで良いの。
「自分の人生は自分で決めるもの」なら、僕はただその言葉通りにしただけ。
藤澤
ふぅ、
書けた。最期の手紙。
あ、橋行く前に最期に好きだったジュース買お。
警察とかが来る前に。





無事にジュース買えたし橋行こ。
橋には少しだけ桜が散ってて、その橋の下からは川の流れる音が聞こえる。
ここで自分が作ったお弁当を食べた。冷えてて味は何とも言えないけど、そんなのもどうでもいい。途中でもう食べる気力も無くなってきたから残した。
そのまま川を眺めてると、
藤澤
ぁ、猫、
ニャー
藤澤
これいる?
僕が残したお弁当の余り。
ごめんけど今はこれぐらいしかあげれる物がない。
(クンクン)
(パクッ)
その猫もお腹が多少満たされたのか僕の足元に来た。
ニャー
少し撫でると「もっと」と言わんばかりに近寄って来たから、その場に胡座をかいて座ると足の上に乗ってきた。それからしばらく撫でてると寝てしまった。
藤澤
さすがにこの子の目の前じゃ死ねないなぁ、笑
この子が起きて僕の元から離れたらこの橋から飛び降りることにした。
この橋は人通りも全くなくて落ち着くなぁ。
警察も来ないし。
そんなことを猫を撫でながら考えていると自分も段々と眠気が来てしまい意識を手放した。
藤澤
ん、
目が覚めると辺りは真っ暗で持ってきた腕時計を確認すると10時半。
もう足の上に猫は居なくて帰ったんだと確認しながら自分の結んでいた髪を解いてさっき書いた紙を吹き飛ばないようにお弁当箱を上に置いた。
橋の欄干を慎重に飛び越えて、やっと準備が整った。後はもう此処から飛び降りるだけ。
藤澤
やっと楽になれ、
大森元貴
ちょ、君何してるの、!?
ヤバい、橋の向こうから人が来た。
僕はもう一度欄干を飛び越えて元の位置にあったお弁当箱と最期の手紙とさっきのジュースを抱えて全力で走った。

そして向かった場所は、
藤澤
急がないと、!
橋の下の川だった。
傍まで来ると急いでお弁当箱と紙とジュースを投げてそのまま川に靴のまま入った。
このまままっすぐ行けば流されてもうあっちも追えない。
無我夢中でただ深い所に行くことだけを考えながら足を動かした。
大森元貴
ちょっと待って!!
追いつかれてしまった。けど、もう深い所のすぐ傍だ。
来れる訳が無い。


と思ったのに、その人はなんの迷いも見せずに川の中に入って来た。
藤澤
来ちゃ駄目!!
違う。他の人を巻き込みたい訳じゃない。
お願い止まって。

その時の僕はもう足がほぼ浸かっていて流されるギリギリ。
そんな中あの人はどんどんこっちに向かってくる。
でも別の怖さもあった。それはこの人に何かされるのではないかという恐怖。
そんな恐怖が沸いてきて足がついに動かなくなってしまった。
大森元貴
やっと来れた、!
藤澤
ぁ、や、
もう僕の手はその人に掴まれていた。
それが逆に怖くて僕は、
藤澤
やだ!!、
振り払ってしまった。
その申し訳なさとこの人への恐怖が少し和らぐ様な気持ちが混ざり合って涙が出てくる。
大森元貴
ごめんねお兄さん何にもしないから、!!
この人、僕の気持ちわかった、?
でも、今ここでこの人の手を取っても辛いのは変わらない。
藤澤
ごめんなさい、グスッ
そしたらその人は僕と同じ所まで来てしまった。
藤澤
駄目、!流されちゃいますよ、!!
大森元貴
それは君もでしょ、?
大森元貴
死のうとしてたの、?
大森元貴
なら駄目だよ、
親御さんが悲しむよ、?
藤澤
ううん、グスッ
居ないの、悲しんでくれる人、
大森元貴
じゃあ僕の所おいで。
藤澤
え、?
大森元貴
幸せにしてあげるから。
藤澤
だめ、迷惑かけちゃう、
大森元貴
なんで?
藤澤
僕と一緒に居る人ね、みんな泣いちゃうの、
大森元貴
僕ね、ちっちゃい時から全然泣いてないの。
大森元貴
だから、久しぶりに泣けるなら大歓迎。
藤澤
なんもしない、?
大森元貴
しないよ。した時はぶっ刺しちゃって良いから笑
藤澤
なにそれ、笑
大森元貴
あ、やっと笑った。
藤澤
へ、?
大森元貴
で、結局来てくれるの?
藤澤
、捨てないでね、?
大森元貴
うん。約束する。
大森元貴
じゃあ行こ?ずっと川入ってたら風邪引いちゃう笑
藤澤
うん、!
そして僕達2人は川から上がってまた橋に来た。
藤澤
クシュッ、
大森元貴
大丈夫?寒い?
藤澤
ぁ、ううん、
大森元貴
くしゃみしてるから、あ、この上着貸したげる。
藤澤
え、いや寒くなりますよ、?
大森元貴
いや、慣れてるからへーき。
そう言って上着を脱ぎ始めたとき、
藤澤
ぇ、
大森元貴
ん?あぁこれ?
その人の背中から少し見えたものは、刺青だった。
大森元貴
ごめんね。怖がらせちゃった?
藤澤
いや、あの、一応聞くけど
大森元貴
藤澤
そういう関係の方?
大森元貴
、うん。
大森元貴
でもね、!
みんなは優しいんだ、!
藤澤
ふふっ笑
藤澤
わかってるよ笑
大森元貴
な、なんで?
藤澤
だって優しいもん。
藤澤
ただそれだけ。
藤澤
あ、とゆうか僕タメ口だったらダメ、?
大森元貴
いや、それはこっちからちゃんと説明するし「なんもするな」って言っておくからね?
藤澤
ありがとう。あ、そういえば名前は?
大森元貴
僕は大森元貴!君は?
藤澤
僕は藤澤、
藤澤
ごめん。もう何年も名前呼ばれてないからわかんない、
大森元貴
そっか。じゃあ"涼架"!
藤澤
へ?
大森元貴
君は今日から涼架!略してりょーちゃん!
藤澤
涼架、?
大森元貴
うん!
藤澤涼架
すごい、人の名前みたい、
大森元貴
人の名前なのよ笑
藤澤涼架
じゃあ元貴だから、もっくんね!
大森元貴
えー何その可愛い呼び方笑
組員
あ、組長!
え、待って今なんて言った?
組員
こんな夜中までどこ行って、って、なんすかそのガキ?
大森元貴
あ"?
え、?
大森元貴
お前がガキ呼びしていい様な存在じゃあねぇんだよ。
組員
ぇ、あ、すみません、
藤澤涼架
もっくん、?
大森元貴
あ、ごめんね!びっくりさせちゃった、
藤澤涼架
ううん、それよりこの人達誰、?
大森元貴
この人達はね、社員?かな!
大森元貴
うん、この人達みんな僕の部下でくみi、社員!
藤澤涼架
組員さんって言っていいよ、?
大森元貴
うん。組員。
組員
あの、その隣の、
大森元貴
この子はね、藤澤涼架くん!略してりょーちゃん!
大森元貴
僕の弟!
藤澤涼架
へ?いや僕達兄弟だったっけ?
大森元貴
?うん?
まあ、流れに身を任すか、
組員
あの、すみません組長、
大森元貴
あ"?
組員
組長、そんな感じでしたっけ、?
大森元貴
どういうことだよ。
組員
そんな柔らかい感じでしたっけ、?
大森元貴
俺はいっつも同じだろうが?
俺、?
大森元貴
ね?りょーちゃん!
藤澤涼架
う、うん(?)
大森元貴
じゃあ帰ろ!
組員
(キャラが明らかに違う、)
大森元貴
あ、手繋ご?
藤澤涼架
うん!
(帰り道)
ニャー
藤澤涼架
あ、あの猫、
大森元貴
知ってるの?
藤澤涼架
うん。人懐っこいんだよ!
するとその猫は僕の足元に来た。
藤澤涼架
んふふ笑
また撫でたら満足したのか帰って行った。
藤澤涼架
あ、ごめん猫に夢中になっちゃって、
大森元貴
いいんだよ〜(ナデナデ)
久しぶりに撫でられた。気持ちが良い。
大森元貴
ただいま。
組員達
お帰りなさいませ!
藤澤涼架
(ビクッ)
わかってたけどやっぱり怖い、
大森元貴
お前らよく聞け。
組員達
はい!
大森元貴
この隣に居るのは俺の弟だから絶対手ぇ出すなよ。
大森元貴
万が一手出したら自分の首無いと思え。
組員達
はい!
藤澤涼架
あの、そこまでしなくても良いよ、?
大森元貴
ダメなの!りょーちゃんその優しさ僕以外に向けないでね?危ないから!
組員達
!?
藤澤涼架
でもそんな怖いこと言っちゃダメ!可哀想でしょ!
大森元貴
わかった、
(中に入り)
大森元貴
りょーちゃん、一旦その制服着替えよっか
藤澤涼架
うん、でも僕洋服持ってきてないよ?
大森元貴
でもずっとその格好で居させる訳には行かないでしょ笑
大森元貴
あ、おいそこの。
組員
はい?
大森元貴
俺が昔使ってたの持ってこい。あっちの部屋の襖に入ってるから。
組員
組長の部屋に持って行きます。
大森元貴
よろしく。
大森元貴
あ、りょーちゃんじゃあ服来たら一緒にお風呂入ろっか!
藤澤涼架
え、いや、僕は、
入りたいけど、僕の体、
大森元貴
嫌?
藤澤涼架
ううん、入る
きっと、もっくんなら、
大森元貴
じゃあ服来たし入ろっか!
藤澤涼架
うん、








大森元貴
藤澤涼架
ごめん、引いちゃった、?
そう、僕の体には痣や傷が沢山あるから、見るだけで不快になる人も居ると思う。
大森元貴
ううん、てか背中にでっかい刺青入れてる奴もそんな変わんないでしょ笑
藤澤涼架
確かに笑
(風呂場)
大森元貴
ここ座って?髪洗ってあげる!
藤澤涼架
うん!
(シャワーの音)
大森元貴
りょーちゃんの髪綺麗だねぇ、
藤澤涼架
あんま自分では思ったことないかも、
大森元貴
そっかぁ。
大森元貴
ねぇ、
藤澤涼架
ん?
大森元貴
この怪我、誰にやられたの?
藤澤涼架
大森元貴
首の周りも赤い跡あるけど、
藤澤涼架
お母さんの彼氏にね、付けられちゃったの。
大森元貴
そいつ、名前なんていうの。
藤澤涼架
えっとね、●●○○だったと思うけど、
大森元貴
ふーん、
大森元貴
、はい!洗い終わったよ!
藤澤涼架
ありがと!
大森元貴
じゃあ先にお風呂浸かって?






大森元貴
じゃあ僕も洗ったから入って良い?
藤澤涼架
うん!
(ポチャン)
大森元貴
りょーちゃんこっちおいで
藤澤涼架
うん?
(ギュッ)
藤澤涼架
わっ、
藤澤涼架
どうしたの?
大森元貴
ハグだよ?
大森元貴
りょーちゃんもしてよ
藤澤涼架
ごめん、僕、ハグのやり方わかんない、
大森元貴
、じゃあ教えたげる!
大森元貴
腕かして?
藤澤涼架
うん
大森元貴
こうやって、ギュってするの!
藤澤涼架
温かい、
大森元貴
でしょ?







大森元貴
じゃあ上がろっか!
藤澤涼架
うん!
藤澤涼架
ねえねえ、浴衣ってどうやって着るの?
大森元貴
えっとね、浴衣は、




大森元貴
うん!やっぱり似合う!可愛い!
藤澤涼架
ありがと!もっくんもかっこいい!
大森元貴
ありがと!あ、ごめん先に部屋戻って貰っても良い?
藤澤涼架
?うん!待ってるね!
そう言ってりょーちゃんは部屋に戻って行った。
そして組員を集めた。
もうとっくに深夜だけどそんなのは関係ない。
りょーちゃんをあんな姿にして追い込んだ奴に今は怒りが収まりきらない。
しかもりょーちゃん細いから女の子みたいだった。きっと食事もろくにさせてくれなかったんだろう。
大森元貴
許さない、
絶対に居場所を突き止めて地獄に落としてやる。
ここで一旦切ります!めちゃくちゃ長くなってしまいすみません💦
スクロールお疲れ様でした!

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