第7話

#7 幻
11
2024/05/05 00:53
父に呼び出された。私は、父の部屋へと向かって行く。

ふすまに向かって声をかける。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
お父様、千鶴です。
父
入っていいぞ。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
失礼します。







桜井 千鶴
桜井 千鶴
お父様。私…
父
あぁ、聞いている。


父
…千鶴。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
何でしょう?
父
…今まで、すまなかった。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
気にしないでください。
私は平気ですから。



…やっと、謝った…


父
…あと…よくやったな。
父
その調子で、これからも
やっていくといい。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
ありがとうございます。




ふすまを閉める。
久しぶりだな、こんなふうに言われたの。
…しかも、本気でそう思ってた。






















暇だ。今まで『十二支巡り』に忙しかった からなのだろうか。記憶はないのに、なぜかそう思う。

























⁇⁇
ねぇ、起きて。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
えっ?
私とそっくりな声が聞こえる。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
貴方は誰?どこにいるの?
⁇⁇
ここに来て。






頭に風景が浮かび上がる。…神社の裏だ。
気づいたときには、私の足が動いていた。














神社の裏についた。でも、そこには誰もいない。

誰かのイタズラなのだろうか。いや、それはない。力を使えるのは、桜井家の巫女である私だけなのだから。










一歩踏みだす。そうすると、辺りが真っ白になった。






















































⁇⁇
来てくれてありがとう。私。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
えっ?



目の前に立っていたのは、
紛れもなく"私"だった。
"私"
"私"
貴方に伝えたい事があるの。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
伝えたい事?



…ちょっと待って。貴方は結局だれなの?
"私"
"私"
…そうだった。
まずはその説明をしないと…
"私"
"私"
私は、もう1人の貴方。
具体的に言うと、
貴方の心の中の光。






…よくわからん…
"私"
"私"
そんな貴方に説明しよう!


桜井 千鶴
桜井 千鶴
お願いします。
"私"
"私"
何か迷うとき、心の中に天使と悪魔が出てきて、どうしようか迷うやつ、よくあるでしょ。
うん、すごく典型的なアレね。
"私"
"私"
そう!
私はその天使みたいなやつ
なんだよね〜。




なろほど…
桜井 千鶴
桜井 千鶴
って事は、悪魔みたいな"私"も
いるって事?
"私"
"私"
あ〜、まぁ、いるね…









































































"私"
"私"
で、本題なんだけど…
貴方は今、幻に閉じ込められているの。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
幻?
じゃあ、記憶がなくなってからのことは全部幻ってこと?
"私"
"私"
それが、全部じゃないの。
貴方が体験したことは、
ネズミサマの見た未来も
組み込まれているの。
貴方がこれを幻だと
気づかれづらくするために。
…なるほど。






"私"
"私"
でも、貴方は現実でやらなきゃいけないことがあるでしょう?
こんな幻に囚われていたらダメでしょう?
だから、私は幻から抜け出せるようにお手伝いするの。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
そういうことね…




でも、何でわざわざ助けてくれるの?
"私"
"私"
あの人に言われたから。
桜井 千鶴
桜井 千鶴
えっ?
"私"
"私"
やらなきゃいけないことが出来ないのは良くないと思ったからだよ?
…何がえっ?なの?
…何でもないです…





"私"
"私"
まぁ、そう言う事なんで!
しばらくのお付き合いだけど、よろしくね!



…よろしくお願いします。





























⁇⁇
本当に、ここから抜け出していいの?


桜井 千鶴
桜井 千鶴
えっ?
"私"
"私"








































































































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