小説更新時間: 2024/05/24 07:10

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 それでも 食べて欲しいと言うのなら . 

 それでも 食べて欲しいと言うのなら . 
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 風に吹かれる診断書が人工的な圧力でくしゃりと歪み、
 同時に〝フォーク〟と書かれた文字も歪んだ。
 欠けた月が妖しく嗤う、嫌に寒い夜のこと。


 「 ジフナ、怖くないの?俺のこと 」
 「 まあね。だって俺はケーキじゃないし 」


 幼い少年が二人、春の夜道を歩いていた。
 ふたり手を繋いで、とても仲睦まじそうに。


 「 ……スニョンは、怖い? 」
 「 うん。なんかね、嫌な予感がするの 」
 「 そっか、当たらないと良いな 」


 二人は、互いに繋ぎ合った手のひらに無意識に力を入れたのか。
 ぎゅ、という暖かな音は、冷たい月明かりに消えてゆく。


 「 ずっと一緒にいよう、ジフナ 」
 「 ……うん、ずぅーっといっしょ。 」


 周りよりも少し成熟しているからと言ったって、
 ふたりはまだ何も知らない、無垢で無害な少年なわけで。

 ———口約束がどれほどに脆いものなのかを、まだ、知らない。


 「 だいすき 」
 「 うん、俺も。……あいしてる 」


 ふたりの優しい愛がいずれ、形を変えて殺意と成ることを。
 この夜の三日月は、もしかしたら知っていたのかもしれない。


  ————————— 🍰 —————————

 ・ご本人様には一切関係ございません。
  RPSやnmmnにご理解のある方のみご覧ください。
 ・私観ですが、気分を害する表現や場面が出てきます。
  (まだ未定ですが恐らく)カニバリズム要素があります。


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