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「#ヤンデレシミュレーター」の小説・夢小説

ホラー
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『セ  ン  パ  イ』 ※ヤンデレシミュレーターパロ

『セ  ン  パ  イ』 ※ヤンデレシミュレーターパロ

僕は…… 何か……… ……おかしい。 物心ついた時から、僕はいつも空っぽで、不完全だった。 何かが…欠けてしまっているような。 虚ろな感覚に支配されていた。 それ以外に何も感じなかった。 世界はいつも冷たくて、真っ暗で、静かだった。 かつては、母も全く同じ世界を見ていたらしい。 けれど、父に出会って、全てが変わった。 温もり、彩り、そして命。父がその全てを母にもたらした。 父が母を、人間にしてくれた。 母はいつも言っていた。 いつか僕にも大切な誰かと出会う日が来る。 母にとって父のような。 癒し、治し、救ってくれる。そんな誰かと。 僕を人間にしてくれる誰かと出会う日を夢見ていた。 それだけが、僕の願いだった。 それだけが、僕の生きる意味だった。 そしてある日… あの人と出会った。 一目見た瞬間、僕の中で何かが変わった。 世界が光で、彩りで満たされた。 まるで、初めて目を開くことが出来たみたいだった。 温かかった。満たされた。生きていると…思えた。 あの人こそが僕を囚えていた、寒くて、透明で、空虚な檻を開く鍵だった。 あの人こそが僕の待ち続けていた人。 この先を永遠に共にしたいと思わせてくれる人。 なのに…… あの男があの人を奪おうとしている。 あの男もあの人を欲しがっている。でも僕とは違う。 あの男には彼の尊さなんて分かりっこない。 あの男は彼に相応しくない。 あの人は僕と生きていくべき。 止めなきゃ。 もしあの男を傷つけることになっても。 もしあの男を殺すことになっても 。 あの人のためなら何だってできる。 誰にも僕たちの邪魔はさせない。 何をしても。 誰を傷つけても。 いくら血を流しても。 誰にも奪わせない。 他のことはどうでもいい。 あの人以外はどうでもいい。 だ  っ  て  、  彼  は   、  僕  の  、  も  の 拒  否  権  は  な  い  。

ー 2,239文字

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2024/05/12