先生、どうして私を逃がさないの?
ある日突然、私は“保護”という名目で医療研究センターに収容される。
理由は、原因不明の体調不良と、常人とは異なる数値を示す検査結果。
担当医として現れたのは、穏やかで理知的な青年医師・ジャンハオだった。
彼はいつも優しい。
声を荒げることもなく、無理に触れることもない。
「君のためだよ」
その言葉を繰り返しながら、私の生活、行動、交友関係、すべてを静かに管理していく。
最初は敵対していたはずなのに、
逃げようとするたびに、彼は完璧な理屈と穏やかな微笑みで道を塞ぐ。
いつの間にか私は、彼の許可なしでは外にも出られなくなっていた。
だが次第に明らかになるのは、
私の身体に隠された“異常”と、
ジャンハオが私を救おうとしている本当の理由。
彼は医師なのか、それとも監視者なのか。
それとも――最初から、私を愛していた存在なのか。
優しさで閉じられた檻の中、
私は気づき始める。
逃げたいはずなのに、
彼のいない世界のほうが、怖くなっていることに。
これは、
救済を装った狂愛と、静かに壊れていく「私」の物語。
ー 3,821文字
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update 2026/01/19