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第1話

真反対な二人
62
2024/04/22 17:10
俺は、正義感が強い。
「会長ぉー、今日出す課題見せて!」
宙
え、もしかしてやって来てないのか?
「昨日バイト夜まであって忙しかったんだよーなーお願い!」
宙
うーん、見せるのはお前の為にもならないし、俺が教えるから今から一緒にやろう
「!え、会長サマが直々に教えてくれるの⁉︎」
「まじ⁉︎一条いちじょう俺にも教えて!」
宙
はは、仕方ないな
俺は一条いちじょうそら
持ち前の正義感の強さと何故か頼られがちな体質のおかげで、俺が通う高校の生徒会長を務めている。
クラスメイトや部活の後輩は勿論、何故か先生にまで頼られてしまうんだよな…
「おお、一条くん、ちょうどいいところに」
宙
!先生
「今日もまた何かと頼られていたみたいだな」
宙
はは、そうなんですよ
クラスメイトの一人に課題を教えようとしていたら、何故だか人が集まって勉強会状態になってしまって
「ははは、それだけ一条くんがみんなから頼りにされてるってことだな」
宙
嬉しい限りですけどね
それで、呼び止めてどうなさったんですか?
「実は、一条くんに私からも頼みがあってね」
宙
?なんでしょう?
「…君のクラスに転校してきたなつめ瑞樹みずきという生徒を覚えているかい?」
宙
あ、はい、棗くんですよね
身体が弱いのか、あまり授業に出られずに保健室によく行っているって聞いてますが…
「身体が弱いというか、少し素行が良くないというか…まあ、君の言う通り保健室に通っていて授業にはあまり出ていないんだ、そこで、一条くんから声を掛けてやってほしいんだ」
宙
…僕が棗くんをサポートするってことですか?
「うーん、まあニュアンスは少し違うような気もするが…まあ、一緒に授業に出るよう声を掛けてやってくれないか?」
先生が何やら曖昧な口調で言う。
まあ要するに声を掛けてくれってことだよな。
宙
そういうことなら分かりました
「!本当か?頼りにしているよ」
棗くんか…挨拶程度でしか話したことがないけどどんな人なんだろう…
ガラッ。
宙
失礼します
「!あら…生徒会長の一条くん?」
棗くんについて何も知らない俺は、まずは保健室に行って話をしてみようと思った。
宙
すみません、僕が体調が優れないわけではないんですが…棗瑞樹くんはここにいますか?
「え、棗くん?彼なら多分屋上にいるんじゃないかな」
宙
…?屋上、ですか?
「ええ、さっき私が来るまではここにいたみたいだけど、廊下ですれ違って階段を上っていくのを見たの」
…保険医の先生が保健室に不在の間は保健室にいて、戻って来たら出て行った…?
どうしてそんなことを…
「…一条くん、もし棗くんと仲良くなりたいなら、先生はあまり賛成はしないよ」
宙
…え、どうしてですか?
「棗くんは何ていうか…素行が良くないから、一緒にいたら一条くんの生徒会長としてのイメージも下がっちゃうと思うの」
宙
…それ、どういうことですか?
「どういうことって、さっき言った通り…」
宙
…僕は自分の名誉の為に生徒会長をやってる訳じゃありません
生徒の代表として、先生の今の言葉は聞き捨てなりません
「え、あ…ごめんなさい、悪く言ったつもりじゃ…」
宙
…いえ、僕も少し頭に血が昇っていたみたいです
とりあえず、棗くんの居場所を教えてくださってありがとうございました
…あんなに強く先生に反抗すべきじゃなかったな。
でも、棗くんがそんな風に下に見られる発言をされているのを見過ごせなかった。
宙
…はぁ、俺の悪い癖だな
気持ちを切り替えて、棗くんを探しに屋上へ向かう。
と…
『…ちょ、お願い待って…』
「んなこと言いながらお前も乗り気だっただろ?ほら、準備しろよ」
屋上の方から何やら話し声が聞こえてくる。
『…っだめ…ま、待ってってば!』
「待てねーよ!俺はお前と…」
…何か嫌がらせでもしてるのか?
止めないと…!
ガチャッ。
宙
おい!何やってるん…だ…
俺が屋上のドアを開け、言い合いを止めに入ると…服がはだけて抱き合っている男子生徒二人がいた。
…って、片方は棗くん…⁉︎
涙目だけど…
「うわまじか、生徒会長じゃん!やべ!」
『!え、ちょ…』
もう一人の男子生徒が、慌てて服を着て棗くんを置いて屋上から出ていく。
宙
…大丈夫?寒くないか?
俺が棗くんに自分のカーディガンを羽織らせると…
『…会長のせいであいつ逃げちゃったじゃん』
宙
…え、逃げた、って…
棗くん
棗くん
ねぇ会長ぉ〜、あいつの代わりにオレを慰めてくれない?
宙
慰めるって…やっぱりさっきの生徒に虐められていたのか?
棗くん
棗くん
ん〜まぁ間違ってないけど、オレは会長に虐めて慰めてもらいたいの
宙
…!
棗くんはそう言って俺の手を握る。
棗くん
棗くん
会長が来たから逃げられちゃったんだよ、ちゃんと代わりしてよ
棗くんは俺の手を…棗くんの胸元に当てる。
宙
…って、棗くん、ズボンはどうしたんだ⁉︎
棗くん
棗くん
え…そりゃさっきまでしてたんだから脱いでるでしょ
宙
え…してたって、何を…
棗くん
棗くん
え〜まだ分かってなかったの?
会長お勉強しないんだ〜
宙
?勉強は毎日してるぞ
それと何か関係があるのか?
棗くん
棗くん
も〜鈍すぎ〜本当に知らないの?…くしゅん!
宙
ほら、ちゃんと服を着てないから
下も早く履かないと
棗くん
棗くん
………え、何オレこんなにカウンター食らうの初めてなんだけど
宙
?カウンター?
よく分からないけど、早くちゃんと制服を着て室内に入ろう
風邪引くぞ
棗くん
棗くん
…っいやいや、こんなんで風邪引くわけないでしょ
宙
押し倒され…何故かズボンのチャックに手をかけられる。
宙
!ちょ、待て待て!
一体何のつもりなんだ!
棗くん
棗くん
え〜何、もしかして恥ずかしいの?
会長背も高いしちょっと期待してたんだけど〜
宙
何の話か全く分からないが、とにかくどいてくれないか⁉︎
これじゃ俺まで風邪を引いてしまう
棗くん
棗くん
え〜?…いいじゃん、一緒に風邪引こうよ
宙
っ!
棗くんに…唇を奪われる。
宙
…⁉︎ちょ、さっきからどうしてこんなことを…
棗くん
棗くん
ま〜だ分かんないの?
えっちしよってずっと誘ってるのに
宙
えっ…え!?///
棗くん
棗くん
会長イケメンだしやったことない訳ないでしょ?
ね、しよ?
棗くんが俺に抱きつく。
…!もしかして…
宙
…いつもそうやって、誰彼構わず誘ってるのか?
棗くん
棗くん
…誰彼構わずって酷いなぁ
オレの好みの相手しか誘わないよ〜
宙
………
棗くん
棗くん
!ちょ、何急に服着せて…
宙
…そういうことは、本当に好きな相手とだけするべきだ
棗くん
棗くん
…え…
宙
…忠告しておくよ
さっきの男子生徒はやめておいた方がいい
場所もまともに確保できずに学校でしようとする相手は、棗くんのことを本当に大事にしているはずがない
棗くん
棗くん
!ちょ、会長!
俺は、棗くんに服を着せ、その場を立ち去った。

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