第11話

❥ 裏切り
588
2024/05/13 09:00
  ꒰ めめんともり side ꒱

  ぼんやりと目が覚める。


  青空が広がる窓の外では、小鳥が踊っていた。

  髪を整えながら着る服を探す。
めめんともり
 どうしようかな… 
  私はあることを決めていた、それは__















  ひなにいさんに今週の休日に遊ばないか、
  と聞くことだった。

  一見小さくてしょうもないことだが、
  私としてはビッグニュース。


  心を弾ませると同時に緊張が込み上がってくる。
みぞれ
 あ、めめさん…! 
めめんともり
 ん?みぞれさんどうしたの? 

  みぞれさんは不自然な笑顔を見せた。


  そのまま私の横を通り過ぎていく。




  みぞれさんの目の周りは、真っ赤に腫れていた。


  それから少し経って、朝食の時間が訪れた。

  私が着いた頃にはもうみんな揃っていた。


  ただ__
ウパパロン
 …… 
Latte
 …… 
  この前起きたことのせいか、顔を合わさない。

  その時、気まずい空気が私の目の前をスッと
  過ったような気がした。
茶子
 ど、どうしましょう…
  席が私とウパさんに挟まれている茶子さんに
  そうこっそりと耳打ちされた。

  まともで真面目で、誰よりも優しい茶子さん
  だからこそ、とても悩みこんでいた。


  __こういう人には、悩み裏の顔がよくあるから。
ガンマス
 んじゃ、いただきまーす! 
みぞれ
 いただきます…! 
  そして多少無言の時間が続いたものの、
  無事に『ごちそうさま』と終わりを告げた。
レイラー
 ごちそうさま〜! 
めめんともり
 ごちそうさまでした 
  すっかり空っぽになったお皿を持ちながら、
  チラッとひなにいさんの方へ視線を逸らす。


  チャンス。

  ひなにいさんがリビングのドアを開けて、
  部屋を出て行こうとしたからだ。


  どうせなら、2人きりで話したかった。



  急いで食器を食洗機に入れて、
  ひなにいさんの背中を目指して歩いた。

  「 もうちょっと 」そう思い、声をかけた。







 










  だけど、その声はひなにいさんには__
めめんともり
 あの…ひなに__ 
レイラー
 ひなにいさーん!ゲームしよ! 
柊鳴ルカ
 ん?いいですよ〜 
  __届かなかった。



  レイラーに、私の声を遮られた。

  私のことを気にもせず、レイラーは
  ひなにいさんの元へと素早く駆け寄る。




  一瞬、私のことを見たレイラーの顔は、
  ニヤッと何かを企んでいるような笑顔だった。

  

  そして私は、今起きた出来事が
  悪気が起きたことだと、瞬時に理解した。


  私の"恋心"を、弄んだ…?









 









  その時、初めて私は"弟子"のことを恨んだ。



  これは、裏切られたってことだろう?

  私の恋なんて、
  私のことなんて、
  全然興味が無いってことだろう?

  "師匠"なんて、ただの肩書きってこと?






  レイラーなんて、レイラーなんて…





  
  気づけば私は真っ暗・   ・   ・な自室へ駆け込み、
  机の上に丁寧に置いてある写真に__





















  真っ黒な油性のペンで、髪ツインテールの
  女の子の顔に、大きくバッテンを描いた。


プリ小説オーディオドラマ