꒰ ウパパロン side ꒱
私は、自由に生きた覚えがない。
みんなの理想像を私に塗りたくって。
私は奥底に、"嘘"の下敷きになっていた。
自分を見失っているんだ。
1人ぼっちの部屋の隅で、ぽつりとそう呟いた。
まだ中学生の頃。
大通り沿いの歩道を歩いていた時だった。
ふと私の視線に入り込んだのは、
「 男性アイドル募集中! 」
と書かれた張り紙だった。
気づけば張り紙に書いてあった電話番号を、
スマホの画面に打ち込んでいた。
『 こんな自分から、変わりたい。 』
そんな思いで、私は指定された
オーディション会場にたどり着いたのだ。
勢いよくそう返事をする。
入った途端審査員に吐かれた言葉は、
想像より大きく私の心を抉ることになった。
それから私はただ『 男の子になりたい 』
とだけ思うようになった。
気づけば私の部屋には、ファッションのことや、
有名な男性アイドルのことが載っている雑誌が
山積みになっていた。
そうしていると、気づけば財布の中身は
寂しくなり、バイト三昧の日々。
だから、私はとある" 生き方 "を選んだんだ。
それは" インターネット "。
始めたら、そこそこ認知度は上がった。
みんなに必要とされたんだ。
顔なんかを出さなくても、声や文字だけで
みんなを魅了できる。
私が男だって、これならバレない。
するといつの間にか私の生活は、
みるみるうちに歪んでいった。
パソコンやスマホ、ゲームの画面と
ずっと睨めっこする毎日。
前まであった視力が無くなっていき、
視界がボヤボヤとするようになった。
そんなある日。
私は気分転換に、 公園へ行くことになった。
その時、人生を変えてくれた人達と出会った。
木陰にあるベンチに座り、ため息をつく。
葉が揺れ、木漏れ日がチラチラと顔に降り注ぐ。
するとその時。
いかにも元気そうな黒髪の女の子がそう言った。
意味のわからない発言に、私は困惑した。
そんなところに
綺麗な紺色のロングヘアの女性が来た。
" Latte "という人が、口をとがらせ反論する。
女性が口にした言葉に、私は自然と下を向く。
今はもう「 かわいい 」なんて言われたくない。
静かな空気が私達の目の前を通り過ぎる。
何かを察したのか、黒髪の女性がこう言った。
そう私を見つめる真っ赤な瞳は、
キラキラと光を放っていた。
私は迷わずLatteさんの手を握った。
そう言った。
1つだけ、" 小さくて大きな嘘 "を
ついていたとしても。
ご観覧ありがとうございました!!
交換宣伝です🙌
ちょっとカオスすぎて内容が
よく分かりませんが面白いです((
ちょっと見たいよって方にオススメ(?)
それでは!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!