ストン!
的の真ん中に見事、矢が刺さる。
ここは学校の弓道場。
この学校は、設備がものすごく良い。
剣道場や弓道場、柔道場、テニスコート、
サッカー場、野球場、卓球場、体育館が2つある。
まぁ、武道やスポーツの名門なんて言われてたら
そうなるわ。
弓道部員が挨拶したのは3年の先輩。
弓道部部長であり、主将。
真ん中を外すことなんて滅多にない。
弓道場の外で、彩葉が俺の名前を呼んだ。
「何よ」って何だよ。
いや、「カレーがいい」って...
いや、ウザいの彩葉だろ。
彩葉はそう言って、部活に戻って行った。
はぁ...
カレー、作るか。
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部活が終わった。
俺は、着ていた道着を制服に着替えた後
忘れ物に気付き、弓道場に戻る。
ストン!
的の真ん中に見事、矢が刺さる。
部長はそう言って笑う。
そういえば、結先輩が剣道強いって彩葉が言ってた
けど、本当だろうか...
あの天然たらし先輩の顔からは想像出来ない。
部長は結先輩と同じ3年だから、何か知ってるかも
しれない...
俺がそう言うと、部長は首をかしげながら
考え始めた。
俺がそう言うと、部長の周りの時間が止まった
気がした。
どうしたんだろう。
俺がそう言うと部長は、持っていた弓を急いで置いて、剣道場の方へ走って行ってしまった。
本当に、どうしたんだろう...
結先輩と知り合いなのか?
でも、そんな話聞いてないけど...
何か変だ。
どうしたんだよ...
不破先輩。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!