8話
白石 人魚の肉でも食ったんじゃないかって囚人たちから言われてた。
アシリパ 人魚？
葉音 上半身が人間で下半身が魚のバケモノだよ。んで、人魚の肉を食べると永遠の命と若さが手に入るらしい。
白石 八尾比丘尼っていう伝説があるのさ。
杉元 （死すべき時に死ねないつらさか。）
白石 あーあ、。不老不死なら金塊なんかもういいじゃんなぁ、、。あ？
白石 ねえ見て？杉元、フクジュソウの花が咲いてるよ！
杉元 やだ、かわいい！春が近いんだな！
葉音 チライ・アパッポ。イトウの花と呼ばれているそうだ。
アシリパ お前、詳しいんだな！
葉音 少しだけ、勉強してましたから。
ー鶴見さんのお役に立ちたくて！ー
杉元 イトウって川魚のあれ？
アシリパ そうだ。イトウは春に現れる。
葉音 チライ・アパッポが咲くのはイトウが川を上ってくる合図なんだそうです！
白石 ん？川をせきとめてる、。
アシリパ 魚を取るためのアイヌの仕掛けだ。
白石 イトウって結構うまいって聞いたぜ？この川で取れないかな？
葉音 簡単に言わない方が良いですよ？イワン・オンネチェプ・カムイ、イトウの主かも知れないので。
杉元 なんだい、それは？
葉音 昔、漁師に追われたヒグマが泳いで逃げたんです。でも、姿を消して、漁師が探してみると、巨大なイトウがいてその口の端からヒグマの足が見えていたんだそうな。
杉元、白石 へぇ、、。
バキッ
白石 うわ！
杉元 あ、、。
白石 ここすげぇ深い！助けて！冷たい！
杉元 何やってんだ！つかまれ！役立たず！
白石 あ、、うう、、ゴボゴボ
アシリパ イワン・オンネチェプ・カムイだ！
杉元 白石が食われた！
葉音 何やってんですか、！
ｻﾞﾊﾞｯ
葉音 （あーもー！何やってんの？！）さむっ、
白石 こぼっごぼぼっ
ドチュッ
イトウ ｷｭｱｯ
葉音 ぶはっげほっ
ﾊﾞｼｬｱｯ
葉音 は、？！
杉元 白石！
アシリパと杉元 あ、、。
杉元 人魚だ、。
アシリパ あ、、キロランケニシパ！
キロランケ アシリパか！
杉元 アシリパさんの知り合い？
アシリパ あの人は父の昔からの友人なんだ。
ー葉音視点ー
葉音 げほっげほげほっ、、キロランケか。
キロランケ アシリパやっと会えた。！メルフ！
杉元 葉音さん、知り合い？
葉音 昔のな。
キロランケ メルフ、どうしてここに？
葉音 少し、旅をしていてな。
キロランケ 旅、か。
葉音 キロランケこそ、どうしてここに？
キロランケ おいおい、説明するよ。
葉音 そうか。
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
4人 はーむ！
もぐもぐもぐ
白石 めちゃくちゃ分厚い皮だけど焼くと柔らかくなるな！
アシリパ んー！ヒンナヒンナ！
杉元 幻の巨大魚ヒンナだぜ！
アシリパ 目玉はゆでダコの味がして美味いんだ。しゃぶっていいぞ杉元。
杉元 ああん、、大きい、。
キロランケ 杉元、、不死身の杉元か？
3人 あ、、。
杉元 何故、それを？
キロランケ オレは、第7師団だ。
葉音 あ、、。
杉元 ｶﾁｬｯ
白石 あ、、あ、、ｺﾞｸｯ
杉元 鶴見中尉の手下か？
キロランケ ん？
ー言っちゃったよ！なんで？！気まずい、！ー
葉音 はぁ〜あ。
杉元 第7師団は2万人からいる。鶴見中尉の隊とは限らんか。
キロランケ メルフも第7師団だったような、。
ｶﾁｬｯ
葉音 あ、、。そうだけど、、。あー！もう、！分かったよ、！全部話す！オレは、鶴見中尉のスカウトで第7師団に入った。親を亡くして身寄りの無かったオレを助けてくれた。この、旅に参加したのは鶴見中尉に捨てられたからだ。
杉元 捨てられた、？
葉音 先月な、ある任務に行ったんだ。刺青人皮を持ってくるっていう、。だけど、失敗した。それで、鶴見中尉に捨てられた。裏切り者として耳を削がれた。こんな、オレを捨てるのか、？
杉元 、、除隊はしているのか？
葉音 嗚呼。もちろんだ。軍服も全て焼いた。
ー見苦しい言い訳か、？ー
杉元 分かった。捨てないよ。
葉音 本当か、？
杉元 親を亡くして、裏切られ、挙げ句の果てに耳を削がれた奴をほっとけるわけないだろ？
葉音 あ、ありがとうｸﾞｽｯ
杉元 ちょっ泣くなよ、。
葉音 優しくされて、、嬉しくて、。ｸﾞｽｯ
キロランケ アシリパはどうしてコイツらと一緒にいるんだ？
アシリパ 相棒だ。そしてこっちの白石は役立たずだ。
キロランケ そうか。お前がそう言うんなら信用できるんだろう。聞け、アシリパ。お前に伝えることがあるのだ。
アシリパ あ、、。
キロランケ オレの村に年老いた和人が来た。その老人はある女性を探していると言った。
老人 小蝶辺明日子
アシリパ ﾊｯどうして、その名前を、！私の和名だ！その名前を知っているのは死んだ母と父だけなのに、！
杉元 （アシリパさんの和名？）
葉音 （アシリパの和名か、。小蝶辺明日子、。）
ー回想ー
鶴見 アシリパの和名を聞き出せたら聞き出してくれる？
葉音 和名、。
キロランケ のっぺら坊はアシリパの父親だ。
葉音 、、！
ーアシリパを探らないと、。ー
アシリパ 嘘だ、。アチャがアイヌを殺して金塊を奪うなんてそんなの！
杉元 なんで、あんたはアシリパさんの和名を知っている？
キロランケ オレは、アシリパの父と一緒に日本へ来た。
杉元 金塊が見つかれば、のっぺら坊が死刑になってアシリパさんの父親の敵が取れると思っていたが、、。
アシリパ 信じない。自分の目で確かめるまでは。私はのっぺら坊に会いに行く。もし、本当にのっぺら坊が私の父親なら、。娘の私には全てを話してくれるはずだ。
葉音 網走は厳重だったはず。そう簡単には会えない。
アシリパ あ、、、
白石 確かにその通りだが、オレの協力なしではな。
アシリパ 脱糞、、いや、脱獄王！
杉元 フッ、、、。
キロランケ 脱獄王？何だそれは？
杉元 白石は網走監獄を脱獄してきた刺青の囚人だ。
白石 い、、！
キロランケ コイツがあの、？
杉元 白石、。
白石 う、、。
葉音 オレ、便所行ってくる。
アシリパ 嗚呼。
ー葉音視点ー
ガサッ
ﾎｰﾎｰ
葉音 アユタラ。コレを宇佐美に。
アユタラ ﾎｰﾎｰ
ﾊﾞｻｻｯ
葉音 はぁ、。
？？ さっきのフクロウはお前の飼っているやつか？
葉音 アシリパさん！そうだよ？
アシリパ 誰に手紙を出していたんだ？
葉音 彼氏にだよ？
アシリパ 彼氏？付き合っている奴がいるのか？！
葉音 そうだよ〜！めっちゃかっこよくてね！陸軍の上等兵なんだー！
アシリパ じゃあ、葉音は女の子なんだな！
葉音 んーん。
アシリパ では、彼氏ではないだろ？
葉音 おれは、昔から性別不明なんだ。まだ、続ける？お話。
アシリパ ｿﾞｸｯい、、いや。やめておく。
葉音 そっか！戻ろー！
アシリパ あ、、嗚呼。
ガサッ
キロランケ アイヌの金塊を奪ったこと、のっぺら坊と同じ国から来た人間として、俺は、責任を感じている。お前たちが相応の取り分を望むのは構わないが、残りはアイヌに返すべきだ。それを最後まで見届けたい。
ーコタンー
でんててんぴよよん
アシリパ あ、、。
白石 あ？ウソ！谷垣？
谷垣 軍服は目立つからアットゥシを着るようにした。、、！！立日軍曹？！
杉元 何言って、？
葉音 はぁ、、、ここにもいたのか。谷垣。少し話そうか。
ｻﾞッｻﾞｯ
谷垣 立日軍曹！どうして、？死んだはずじゃ？
葉音 今は、葉音と呼んでくれ。師団の中では死んだことになっているのか？
谷垣 ええ、。立日軍曹は山から落ちて死んでいると聞かされました、。
葉音 はぁ、、まあ、そっちのほうが都合が良い。おれは、師団から離れて過ごすように言われている。んで、今は旅をしている。谷垣も葉音と呼ぶように。
谷垣 葉音さん？
葉音 呼び捨てで。
びよよんっ
ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
谷垣 網走へ向かうのか。
、、谷垣の説明、、
葉音 札幌ね、。オレも、少し買い出しに行きたいから好都合だ。
、、次の日、、
ﾋﾋﾝｯ
谷垣 大事な農耕馬だ。畑を耕す時期までには帰ってこいよ。
杉元 ああ。
アシリパ フチをよろしく頼むぞ。
谷垣 うん。
白石 オレのウマなんか小さいんだけど、？
葉音 何故、おれはキロランケと一緒なんだ、？
杉元 よし！行こうか！まずは、札幌、そして、網走へ！
白石 おれのウマ、小さいんだけど？！
8話終了