逃げ込むためにやって来たお店がまさか下着屋さんだなんて想像していなかった。完全に想定外だった。数あるお店の中から偶々ここ来ちゃうとか不運にも程がある。
慌てて体を回転させて後ろを向き、他のお店に逃げ込もうと歩み出そうとしたその時だった。肩を掴まれてそのまま静止させられてしまった。
誰だよ止めようとした奴は!と内心半ギレしながら振り返ると、私を止めたのはDIO様だった。
何故かバチバチと睨み合う2人を前に、顔を真っ赤にした私が「は!?」と言ってキョドるとか言うカオス。もう何がどうなっているのか何も分からない()
しかし、2人はすぐに私の方を向いたかと思うと私の手を取り、ズカズカとお店に入って行った。う、嘘でしょ〜!?マジで入っちゃうの下着屋さん!?
DIO様がドアを乱暴に開け放った瞬間、店員さんの笑顔が消えた。そりゃそうだ、顔を真っ赤にした女性1人を引き摺り込んで男2人が凄い形相で入って来たらそうもなる。
ギョッとしている店員さんに「ご愁傷様です」と同情していると、2人はそれぞれ徐に下着を手に取って私に見せて来た。
私が何も言えないでいるのを他所に2人はベラベラと互いの意見をぶつけ合っている。生放送の討論番組より白熱している気がして恐ろしいのなんのって。
しかも恥ずかしいにも程がある。可愛げだとか女性らしさだとかセクシーさだとか、大変なことになるだとか…全体的にわけが分からないよ!!
店員さん完全に引いてるし、入っただけ逆にダメだった!!余計に恥ずかしい気持ちを味わうだけだった!!完全に私の計算ミスだ!!
そう引き気味に言ってレジに直行したが、横からジョルノが割り込んで「僕が払いますよ」と言ったため、結局私は一銭も支払わなかった。また買ってもらってしまった…。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。