はしゃいでいた私は思ったよりも近くにあった夕の顔に固まってしまった。
急に気まずくなっちゃったし!
流しとけばよかった…
私の手を引っ張って歩く夕。
顔はわかんないけど耳まで真っ赤。
暑いのかな?
〜西谷side〜
あなたの手、相変わらず小さいし、柔らかいしかわいい手してんな、
付き合ってた頃に俺がゴリラ好きって言ってたの覚えてくれてたんだなぁ、
嬉しくて顔がにやけそうになった俺はあなたには見られないように前を歩き始めた。
あなたside
一通り動物園を回るともう夕方になっていた。
楽しかった大きな動物園とお別れして電車に乗りいつもの帰り道を久しぶりに夕と歩く。
自然と遅くなる歩くスピード。
夕と付き合っていた頃、もう少し一緒にいたい時に寄っていた公園。
夕と別れてからは思い出いっぱいのこの公園には来ないようにしていた。
思い出しちゃうからね、、
2人でベンチに座ってのろのろと喋る。
夕日が傾いている公園。
夕は少し黙ってから口を開いた。
夕からまさかそんな言葉が聞けるなんて…
気がつけば、私は静かに涙を流していた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。