第11話

お互いに
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2023/02/01 10:43
なんでだろうか…
ただの友達なのに…
なんで…
あいつを見ると…胸の当たりが苦しくなるんや…
…あいつは…俺のただの友達だってのに…
ドキッ…
…だめや…長尾のことを思うと…ドキドキする…
この気持ち…いったいなんなんよ…
道枝駿佑
くっ…
苦しい…胸の当たりが…
これって…まさに…恋ってやつなんかな…
…そんなわけないか…
長尾は男やで?
俺が男を好きになるわけ…
道枝駿佑
…でも…
道枝駿佑
長尾の様子…いつも変なんよな…
道枝駿佑
…いつも来るのが遅いし…お昼は一人で食べるし…
道枝駿佑
…お昼はパンしか食べないし…
道枝駿佑
…長尾の身体に…なにかある証拠やな…
道枝駿佑
…長尾に…聞いてみるしかないな…



ーお昼
道枝駿佑
(長尾は絶対に中庭でお昼を一人で食べてる…)
道枝駿佑
やっぱりここにいたな
長尾謙杜
んぇ…
長尾謙杜
き…君って確か…
長尾謙杜
道枝…くんだっけ…?
道枝駿佑
そう、覚えててくれてありがとな
長尾謙杜
…いや…べ…別に…
…なんでありがとうなんて…俺の柄でもない…
道枝駿佑
…なぁ長尾、ちょっと聞きたいことがあるんやけど
長尾謙杜
…な…なに…?
道枝駿佑
長尾って、なんでいつも一人なん?
長尾謙杜
え…?
長尾謙杜
ひ…一人って…?
道枝駿佑
はぁ…ばかやな…
道枝駿佑
なんで、こんなに人がいるのに、長尾は誰かに声をかけたりしたいんかって聞いとるの
長尾謙杜
……
道枝駿佑
…何か…あったんやろ?
長尾謙杜
…別に道枝くんには関係ない話でしょ…
道枝駿佑
なんや…今の…
いきなり長尾の態度が変わった…
さっきまではなにかビクビクしてたように見えたのに…
今となっては…あのことが嘘みたいや…
道枝駿佑
…友達として聞きたい、こう言えばええか?
長尾謙杜
長尾謙杜
…ただ一人の時間が好きだから
長尾謙杜
それだけ
道枝駿佑
…一人の時間が好き…ね…
道枝駿佑
でも、一人の時間が好きっていうても、たまには誰かと一緒にお昼とか食べないん?
長尾謙杜
…食べない…一人がいいから…
道枝駿佑
…後…
道枝駿佑
いつもなんで来るの遅いん?
道枝駿佑
長尾、結構真面目やと思うのに
長尾謙杜
こう見えて結構色々準備してるから
道枝駿佑
……
嘘や…絶対に嘘や…
体育の時間…授業が始まってるのに長尾が来ないから心配して来てみれば…
まだそのとき…服を脱いでなかった…
『10秒以内に脱がなかったら俺が脱がす』とかいうたけど…
長尾は10秒経ってもワイシャツのボタンを外してただけだった
俺が脱がそうと思ったけど、
長尾に突き飛ばされた
…ああいう感じなんやから…
道枝駿佑
(何かしら…家庭になにかあるんやわ…きっと…)
道枝駿佑
(少し…あのとき腕とか体に酷い痣があったから…)
道枝駿佑
(…家で…虐待を受けているんやろ…結構酷めのものを…)
道枝駿佑
そっか、ありがとな
道枝駿佑
じゃあ、俺はこれで
バタン…
やっぱり…予想的中や…
…俺がこんなに長尾のことを思ってる…
なぜだろうと思ってたけど、
…やっと自分に確信がついた
近々、学校主催のパーティーがあるはずや
その時、長尾に何があっても本当のことを話してもらおう
そして、家でなにかあったこと
虐待を受けているだろうから、父さんに協力してもらって、
長尾の家に逮捕状を送ってもらって、長尾の両親を逮捕させる
そうしたら…長尾も普通に感情を取り戻すことができるはずや…
あんな状態…絶対に何かしら感情を失ってるはず…
…待っててな…長尾…
俺が長尾の絶望を…消してやるから…
だって…俺は長尾のことが好きだから…

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