ゆーくんは怒ったように俺の胸ぐらを掴んだ。
無駄にでかくてうざいわ。
「さ、さかた…っ」
「……この間の約束は?」
“オレが勝ったらお前、もう桧山に近づくな”
「……守るなんて言っとらん」
……あいつ。
それから足早にいなくなった2人。
「……」
「んだよあいつ……」
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よいしょっと……。
ケガってこんなに大変なんだな……。
階段を下るのにも時間がかかってしまう。
ケガをしていない右足に体重をかけて下る。
疲れてきたなぁ…。
少し気を抜いて、次の一段に右足を下ろした。
すると右足の、つま先が階段の先端につまずいた。
まって!!おちる……!
ぐっと目を瞑って、引っ張られるように階段下へと落ちていった。
………でも、いつまでたっても痛みを感じない。
そっと目を開けると、
「…あ、ぶねー……」
う、らたくん………。
私を受け止めてくれたみたいで、いつのまにか浦田くんの腕にホールドされていた。
「……ありがとう」
「ふw。なんか、いつも礼言われてる気がするんだけどー。帰んの?」
「ん……ちょっと勉強して帰ろうと思って。あ、でも図書室冷房壊れてるんだっけ…」
「オレ、いーとこ知ってるけど」
いいとこ?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。