この世界は歪だ。
そう思ったのは小学校低学年の頃。
普通なら世の中の夢や希望をなんの疑いもなく堪能する時期だ。
そんな時にそんな事を思ってしまった私を、多分殆どの人は「 どうしてそう思ったのかな? 」と思うはずだ。
まあ、私が若くして達観した思考の持ち主だった…というのが" 普通 "の結論だ。
だが、私は" 普通 "なんかじゃない。
皆から腫れ物のように扱われる" 邪魔者 "。
不幸の象徴のような" 消えて欲しい人間 "
そう、皆から思われて接されてきたのがこの私…" 有坂 歌音 "だ。
そんな私はこれからも皆から酷い扱いを受け、そのまま人生を終わらせる…と思っていた。
だが、そんな私は今目の前で信じられないものを見ていた。
それは今私の前で話しているのは" 怪異 "だ、ということなのである。
_ことの始まりは数時間前の学校帰りだ。
そう呟きながら歩く帰り道。
今日は特に何も無いので早い帰宅になりそうだ。
..オイ..ろ.よ
何処からか人の声が聞こえて足を止める。
普通なら人の声なんて気にしないのだが…どうしようも無くその声が気になってしまった。
…今思えばそれは" 必然 "だったのかもしれない。
声が聞こえてきた方向へ歩くが一向に人の声が聞こえてこない。
そう呟き、諦めて帰ろうとしたその時だった。
…オイ!
そう、野太い男の人の声が聞こえてきた。
何だろ、とは思ったがそこまで深追いしなくていいだろうと帰ろうとする。
その瞬間だった。
たす..け…て..
そう、子供の助けを求める声が聞こえた。
その時の私の行動力はいつもの比ではなかった。
声が聞こえてきた方向へ足を動かした。
「オイ、ちゃんとガキを見てろよ」
「ああ、分かってるよ」
「にしてもコイツの父親、10億もくれるんだとよ」
「太っ腹だなぁw」
…どうやら誘拐犯の会話を聞いてしまったらしい。
そう内心呟く。
舌打ちしたいような気持ちだった。
この状況をどうするかに全神経を使う。
この時の私は馬鹿だ、相手が自分の存在に気づかないと思わなかった。
少なくとも10億円も渡せる人間の子供の警備が薄い訳ないのに…。
なんの音もなく背後で声が聞こえてきた。
その事に驚いている間にくるりと回転させられる。
すると、声をかけてきた人物が誰か分かった…誘拐犯の1人だ。
男はガタイがよく筋肉質でとても一人の少女が太刀打ち出来るようなものではなかった。
何とか問いかける。
強がっているように言っているが本当のことを言えば結構怖い。
震える手を何とか抑え込む。
そう言うと男が一人出てきた。
確かコイツらは3人だったはずだ。もう一人は子供の監視役でもしているのだろう。
あのクズ親のことだ、身代金とか要求されても自身の命が脅かされない限り私の為にお金を渡さないだろう。
寧ろ、邪魔者が居なくなると喜ぶかもしれない。
……というか、殆どの人間は喜ぶだろう。
きっと悲しんでくれるのは幼馴染の茜だけだ。
悲しい…のかな。親や周りの人間から敬遠されてきたんだ、別にどうだっていいと思う。
そう、私が己の今後の人生に諦めた時だった。
目の前の男が倒れた。
私は男を倒したであろう者を見た。
それは少女だった。まだ小学校4、5年生くらいの見た目でとても紅い髪の色をしていた。
私は少女を一目見て分かった。
そして…恐怖という感情が全身を襲った。
その少女は恐らく___
" 怪異 "だった。
はい、1話から初登場のオリキャラを入れてくる人です((
またキャラについてはまあ…物語読んでたら分かってきますよね()
まあ一応容姿だけでも教えますね!(
まあこんな感じの子だと思って頂いたらいいですね!
良ければ感想下さい(
それでは〜!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。