窓をうっすらと照らす、朝焼けの空の明るさで
目を覚ますと……………
ベッドの上には、俺一人しかいなかった。
朝の独特の空気の冷たさに耐えきれなくて……
毛布にくるまったまま、リビングに移動する。
そこは、薄暗くて、しんと静まり返っていて……
家の中のどこにも、ジミナの気配は無かった。
途端に、背筋が冷たくなって……身震いする。
…………………………ヤバい。
………泣きそう………なんだけど………
と、思った……………瞬間に。
リビングから、バルコニーに続く窓が
スーっと開いて…………………
俺のパーカーを羽織ったジミナが、
…………そっと………静かに、入ってきた。
なんの違和感もなく、決まった事のように……
ジミナが俺の首に腕を回して………
俺が、ジミナの腰に………手を回す。
ぴったりと身体が合わさるように……
バランス良く、お互いに体重を預ける。
ジミナの首筋からは……………
いつも、俺の好きな、甘い匂いがする。
俺は抑えきれなくなって………
ジミナの首筋に……………ひとつ、キスをする。
ジミナは、俺から離れて歩きだし、振り返って……
猫を呼ぶみたいに、前に手を差し出すと……
指先を、ひょこひょこっと動かして…………
……………俺を、リビングの先へと………誘う。
ジミナは……俺と瞳を、じっと合わせたままで
………柔らかく、身体を揺らして……
一歩ずつ、後ずさりしながら………
「秘密の部屋」まで……………俺を、誘う。
俺は、ジミナを捕まえると……
「秘密の部屋」のドアに、押さえつけて
熱く、深く……………キスをした。
ジミナは………
身体では、抵抗してるフリするくせに………
俺の強引なキスには、ちゃんと……応えてくる。
ホントに………死ぬほど、可愛くて………愛しい。
俺は………ジミナの瞳を………じっと見つめる。
ジミナが、何をして欲しいかなんて
全部、解ってる……………けど。
この、ジミナの顔が……………見たいから。
ジミナが、俺だけを必要とする………
この瞬間を、……………感じたいから。
ジミナは、俺の首に腕を回して……
俺の耳元で………………
そっと………………「命令」を………………囁く。
俺は、……………ジミナに誘われるまま……………
「秘密の部屋」に、入っていく。
ここで、これから起きる事は……………
誰にも話さないし……………誰も、知らない。
ジミナと、俺だけの……………
……………「秘密」、だから。
end for now...
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!