第38話

最終話
1,105
2023/02/23 11:48















 


窓をうっすらと照らす、朝焼けの空の明るさで


目を覚ますと……………


ベッドの上には、俺一人しかいなかった。











YOON
YOON
…………………………ジミナ………?











朝の独特の空気の冷たさに耐えきれなくて……


毛布にくるまったまま、リビングに移動する。




そこは、薄暗くて、しんと静まり返っていて……


家の中のどこにも、ジミナの気配は無かった。








途端に、背筋が冷たくなって……身震いする。















 
YOON
YOON
…………………………まさか……………

YOON
YOON
……全部、………夢だったなんて事………



YOON
YOON
…………………………ない………よな……?














…………………………ヤバい。





………泣きそう………なんだけど………















と、思った……………瞬間に。












リビングから、バルコニーに続く窓が


スーっと開いて…………………




俺のパーカーを羽織ったジミナが、


…………そっと………静かに、入ってきた。













YOON
YOON
………………………ジミナ……………?




JIM
JIM
わっ!!………あ、ユンギ兄さん……………
ごめん………………起こしちゃった………?


JIM
JIM
………事務所から電話がきて……………
起こしちゃうの嫌だったから、外に……




YOON
YOON
…………………………ジミナ……………

JIM
JIM
……え?……………どうしたの?
……………泣いてるの……………!?



YOON
YOON
……………いや、泣いてないけど………。

YOON
YOON
………全部、……………夢かと思った……………







JIM
JIM
……………もしかして……………
JIM
JIM
…………僕が……………いなかったから?


YOON
YOON
…………………………ん。
YOON
YOON
………夢じゃなくて………良かった………。



JIM
JIM
………ふふっ…………………ユンギ兄さん……


JIM
JIM
………ハグ、くらいなら………
JIM
JIM
ココで、しても……………いいよね?




YOON
YOON
………………………………………ん。
















なんの違和感もなく、決まった事のように……


ジミナが俺の首に腕を回して………


俺が、ジミナの腰に………手を回す。







ぴったりと身体が合わさるように……


バランス良く、お互いに体重を預ける。










JIM
JIM
ふふっ……ねぇ……これから大丈夫なの?
JIM
JIM
…………仕事とかで、僕たち…………
………離れてる事が、多いのに………



YOON
YOON
…………………………こんな、俺は……………
YOON
YOON
………ジミナの前だけ、……………だから。




JIM
JIM
……そう?………じゃあ、うっかり……
他の誰かに、見せないようにね……?



YOON
YOON
こんなん絶対…………見せらんねーよ。


JIM
JIM
ふふっ、イメージ違いすぎるもんね。
………僕は可愛くて、仕方ないけど……




YOON
YOON
あぁ、………ホントに、……落ち着く…………
YOON
YOON
何でこんな…………いい匂いすんの?






ジミナの首筋からは……………


いつも、俺の好きな、甘い匂いがする。



俺は抑えきれなくなって………


ジミナの首筋に……………ひとつ、キスをする。








JIM
JIM
あ。ちょっと……………ダメだよ…………

JIM
JIM
ユンギ兄さんが決めたんでしょ?
「オンとオフはちゃんと分けよう」
………って……………忘れちゃったの?

YOON
YOON
……………そうだっけ?

JIM
JIM
うわー!自分で言ったくせに!

JIM
JIM
………それに、今日は僕たち仕事だよ。
シャワー浴びて、……もう行かなきゃ。



YOON
YOON
………………………………………
YOON
YOON
もう少し……………時間あるじゃん……?







JIM
JIM
…………………時間………ある、けど………












YOON
YOON
…………………………ジミナ………

JIM
JIM
……………なに………?






YOON
YOON
……………………キス…………したい。






JIM
JIM
………………………………………っ
JIM
JIM
……でも、………………ここじゃ、………

JIM
JIM
……………………ダメ、なんでしょ……?



 



YOON
YOON
…………………………

YOON
YOON
………ここじゃ、……………ダメ、だよな……



JIM
JIM
……………………ふふっ…………


JIM
JIM
じゃあ………こっち…………………来て?













ジミナは、俺から離れて歩きだし、振り返って……



猫を呼ぶみたいに、前に手を差し出すと……



指先を、ひょこひょこっと動かして…………



……………俺を、リビングの先へと………誘う。





 


YOON
YOON
………俺、………猫じゃないんだけど……?

JIM
JIM
ふふふっ。
JIM
JIM
でも………ついて来たく………なるでしょ?










ジミナは……俺と瞳を、じっと合わせたままで



………柔らかく、身体を揺らして……



一歩ずつ、後ずさりしながら………





「秘密の部屋」まで……………俺を、誘う。












YOON
YOON
……………………ジミナ……
YOON
YOON
…………………もう………限界、………だ。

JIM
JIM
あっ!まだ………部屋の中じゃ…………っ!
JIM
JIM
……………んんっ








俺は、ジミナを捕まえると……


「秘密の部屋」のドアに、押さえつけて


熱く、深く……………キスをした。







JIM
JIM
……………ん、……………はぁ、……………っ
JIM
JIM
まだ、……部屋の中じゃ、ないのに……っ




ジミナは………


身体では、抵抗してるフリするくせに………


俺の強引なキスには、ちゃんと……応えてくる。





ホントに………死ぬほど、可愛くて………愛しい。







YOON
YOON
……だって……………まだ、ちゃんと……
YOON
YOON
……………命令されて、ないしな……?


JIM
JIM
………………………………っ
















YOON
YOON
…………………………ジミナ。
 















YOON
YOON
……………どう、したい……………?
















JIM
JIM
…………………………っ













俺は………ジミナの瞳を………じっと見つめる。



ジミナが、何をして欲しいかなんて



全部、解ってる……………けど。









この、ジミナの顔が……………見たいから。









ジミナが、俺だけを必要とする………


 
この瞬間を、……………感じたいから。


















JIM
JIM
……………ユンギ兄さん…………










YOON
YOON
………………………………ん…………?











JIM
JIM
…………………………あの、ね……………














ジミナは、俺の首に腕を回して……



俺の耳元で………………



そっと………………「命令」を………………囁く。


























 
YOON
YOON
………………………………………分かった。




















俺は、……………ジミナに誘われるまま……………






「秘密の部屋」に、入っていく。
















ここで、これから起きる事は……………










誰にも話さないし……………誰も、知らない。











ジミナと、俺だけの……………














……………「秘密」、だから。











 






 




















end for now...

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