たくさんの照明。
広く響くクラシック。
光るダイヤモンド。
ひらひら揺れるレオタード。
会場にある全てが花瑠の味方をしているようだった。
「もう頑張れない」
「もうバレエやりたくない」
「家に帰りたい」
家で,教室で. 涙をのんだこともあった。
''韓国でコンクールに出る''
その話を聞いてから半年以上,花瑠は必死にバレエに向き合ってきた。
今日のためだけ。この5分間のためだけに必死に取り組んできた。
薄暗い会場でもメンバーは南が泣いてることに気づいていた。
ダヒョンが花梨の手を握って, 大丈夫だよ。と 目を合わせる。
振りを間違うこともなく,
転ぶこともなく,
花瑠らしく,いつも通り。
無事にステージを終えた。
会場に広がる拍手ともに照明が明るくなる。
深々と礼をする花瑠がよく見えた。
小さな手で一生懸命拍手する子供たち。
頬につたる涙を拭いながら拍手をするメンバー。
小さな花瑠が舞台袖に向かうと同時に第2部が終わった。
全員はすぐさま花瑠の元へ______
花瑠の所に抱きつくミサモの子供たち。
歩いて追いついた他のみんなも無事に合流した。
涙ながらにゆっくりと花瑠に歩みよる南。
南を見るなり花瑠の目にも涙が浮かんだ。
強く,強く,娘を抱きしめる。
南の肩で泣いている花瑠は,始まる1秒前までずっと緊張していた。
紗夏も花瑠を抱きしめた。
花瑠の手を握ったり、涙をふいてあげたり、背中をさすったり、抱きしめたり…。
大きなステージで踊った花瑠の体を思いっきりいたわった。
結果は全体で第2位。
なんと花瑠は審査員からの奨励賞も もらい,2つの表彰をされることに。
結果を聞いた時点でもう全員の頬には涙の跡。
ステージへと上がる花瑠は流暢な韓国語で今コンクールについて話し始めた。
「え…はる?」
「twiceのミナの子じゃない!?」
「わ!あそこにtwiceがいる!」
大きな拍手の中に混じる声。
あまりのざわつきに、9人で立ち上がった。
息の揃った礼をしてからみんなで声を合わせ,花瑠に届けた。
「 하루、축하해! 사랑해!」
泣いている花瑠に今すぐにでも行って抱きしめたい気持ちでいっぱいだった。
先生,関係者への挨拶、急なマスコミインタビューにも応え,無事にコンクールの全てを終えた。
トロフィーと記念品をバッグにしまってソファーに座る花瑠。
そこにいた南とジヒョに寄りかかって花瑠は眠ってしまった。
もう夜の19:30
ミナは花瑠を抱っこして紗夏、ももの2人は夏都と花梨を抱っこした。
ミサモは予約したホテルに向かうため、メンバーと解散。
ソウルの病院でジヒョの子は無事に産まれた。
1日以上の難産の末、帝王切開だったが,元気な女の子だった。
急遽最終日の予定を変更し,ジヒョの子に会いに行くことに。
子供たちも支えてもらいながらジヒョの子を抱っこすることができた。
渡されたプレゼントの上には手紙が1枚。
「ジヒョヤ、ハルヤ。2人ともお疲れ様。そしておめでとう!
花瑠のことはニュースで知って驚いたよ。立派に育って親のように嬉しい笑
ジヒョ。まだ学生だった君がお母さんになるなんて!!すごく難産だったみたいだね。今はゆっくり体を休めてね。
花瑠とジヒョの報告は繋がるような幸せだと思う。
2人がずっと幸せに暮らせるようにこれを贈ります。他のみんなもね。」
2人が開けると1個ずつのプレゼントの中に入っていたものは同じもの。
「青いカーネーション」が敷き詰められたフラワーボックスだった。
青いカーネーションの花言葉は…
''永遠の幸福''
5話にも渡る長編でしたが見て頂きありがとうございました🥲
もうすぐ1000人様目前ということでリクエストのお話ありましたら作りたいと思います!!
妊娠,出産,日常などなど…
リクエストお待ちしております🥹
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。