第15話

14
86
2024/05/19 11:00
 














彼のナイフはこちらを向いていた。
「殺される」
言われなくても悟るだろう。

あなた
…っ……こないで…っ…!
生前 アラスター
はは、本当に殺すのが惜しいよ。

ジリジリと近づいてくるアラスター。
1歩ずつ私も下がるも、彼からは目を離さなかった。
目を離したらすぐ刺されそうで。

あなた
っあぁ!

石につまづいて転んだ。
死ぬ。
殺される。

あなた
アラスターさ……
き、聞いてくださらない?
生前 アラスター
遺言かな?バレるのも時間の問題だから
手短に頼むよ。

あなた
ずっと…尊敬しています。
だから、ぅ…えっと…
あなた
好きの形はそれぞれだから、
私は、私は……
あなた
先輩の「好き」を尊重します…!!
…例えそれが、殺人的快楽だとしても。
生前 アラスター
ご機嫌取りなら間に合っているが。
あなた
ちが……っ…わたし、は……



一か八かだ。



一度彼の噂を耳にしたことがあったから。



彼が「愛」を知らないことを。



彼が家で父親に何をされたのかを。
言葉に乗せて、伝えろ。

あなた
愛を、私が愛を教えます。
貴方が愛を知ったら、殺して。


生前 アラスター
────君は、なんてことを言う。
生前 アラスター
愛、か。
 








生前 アラスター
愛…………。







アラスターは何を重ねたのか。

それは単純だった。

自分を唯一「愛した」母親の姿。


生前 アラスター
……私もおかしいな。
死人を重ねるなど。
あなた

あなたは知らない。
アラスターが母と自分を重ねていたことなど。

生前 アラスター
いいだろう。
今は許してあげてもいい。
生前 アラスター
だが、条件を提示する。
守らなかった場合君の関係者
諸共殺すからそのつもりで。
あなた
っ……はい。
生前 アラスター
ひとつ、私のことは一切話さないこと。
ふたつ、私と行動を共にすること。
みっつ、私の命令に必ず従うこと。
生前 アラスター
いいな?
あなた
っわかり、ました。

生前 アラスター
じゃあ早速、
「コレ」を運ぶのを手伝ってくれ。
生前 アラスター
これから死体処理をやらせるだろうから
覚えておくように。
あなた
…何人、殺ったんですか。
生前 アラスター
父親、それと一人…あと、君の上司。
合わせて三人。ああこれで四人か。
あなた
…え、上司…父親……え?
生前 アラスター
追追話す。
ほら、見ていて。
 
手馴れている処理。
この方法は見た事がある。
確か、街で売られている殺人鬼たちの
手口などをまとめた本にあった。
彼は先程まで先輩だった「ソレ」を
ぐるりと縛り上げた。

生前 アラスター
反対側を持って。
この近くに捨てるから。
あなた
その、袋に分けたものは?
生前 アラスター
後で食べるさ。
あなた
食ッ……
生前 アラスター
無駄に触った場所は捜査でバレるから
処理するのが早い。

この人に常識や倫理は通用しないのだろう。
 







_@_
過去については捏造が多いです。
「母親を殺した」という
パイロット版の翻訳は誤訳だと信じてる
ので、殺してません。
_@_
「母の作ったジャンバラヤは
死ぬほど辛い」だった気がします
_@_
今までどうやってこの話を書いていたか
忘れてしまって、迷走中です。
 

プリ小説オーディオドラマ