第11話

模試の結果
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2017/12/28 12:29
グラウンドから少し離れた所でぼーっとしていた



晩御飯何にしようかな
今家にあるもので何か作れるかな?




「んー…」




壁にもたれて晩御飯のことを考える
昨日はグラタン
そう考えると今日は和食とか中華料理の方がいいかな




「はぁ…はぁ…おっと」

「わっ、びっくりした…」




いきなり現れた柴さん


息切れしてる
走ってきたのかな?
鬼ごっこ?




『隆也くーん!』
『どこー?』
『そっちは?』




徐々に声が大きくなる
この声は女の人の声





「やべっ」

「えっ!?」





グイッと腕を掴まれたと思ったら
物陰に隠れさせられた
ていうかなんで私も巻き添えくらってんの?









「ちょ!何!」

「シーッ…」



人差し指を私の唇にあててきた



…なんなのよ、こいつ








































「はぁ…やっとどっか行ったか」

「何さっきの」

「ファンだよ。握手とか写真撮ってとかしつこいから逃げてきたとこ」

「ファンにそんなこと言っちゃう?」

「あんなのひとりずつ対応してたらキリねぇだろ。アホか」




アホ!?
いやまぁ頭はそんなにいい方じゃないからアホではあるけど
なんかこの人に言われるとムカついてくる










「おいブタ」

「唄です」

「ブータ」

「唄!」

「ブー子ちゃん」

「う、た!」






まったく、こんなやつのどこがいいの!
口悪いし人のことすごいディスってくるし顔しか良くない!








「お前何してたんだよ」

「ちょっとサッカー部に用があったの」

「へー、早速好きなヤツ見つけた?」

「違う!」




私そんなに軽い女じゃないから!










「つーかさ」

「…なに」



柴さんは何かの紙を私に見せてきた
それは…









「お前成績悪すぎだな。こんなんで大学行くわけ?」









夏休みの最後に受けた模試の結果
きっと何かの拍子にカバンから落ちたんだ

模試の結果は今日返ってきた

私は一応進学希望で志望の大学を何個か書いてるけど
全部E判定

これは毎回









「返してよ!」

「数学とか点数一桁じゃん」








立ち上がった柴さんはじっくり結果を見る
私は必死にジャンプして紙を取り返そうとする

でも身長差がありすぎて全然届かない









「えーっと、英語は…」

「かーえーしーてーよ!」










もーう!










「返して!」


「国語は ──── 」









と、そのとき

柴さんの隣から伸びてきた手が
私の模試の結果の紙を取った










それは










「返せよ。嫌がってんだろ」










悠真だった

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