プリ小説

第3話

「テメェ俺らがゴミクズだとぉ!?」

 俺に喧嘩を売ってくる馬鹿を馬鹿1と命名してやろう。馬鹿1は俺の胸ぐらを掴みそう怒鳴る。

 「聞こえてんなら、聞くなよゴミクズ」

 その怒鳴り声で周りの奴等の視線が集まる。

 「おっと、悪かなったな。ゴミクズって言ったらゴミクズに失礼だったな。訂正するよ。ゴミクズ未満だって」

  馬鹿1は拳を固くしそれを俺の頬目掛けて突き出した。

  「ギャフ!!」

  決して拳が当たった訳じゃない。こんなド素人が繰り出す拳に俺が当たる訳がない。

  「ちょ、強盗さん何するんですか?」

  拳を避けようと首を曲げた直後だった。襟をおもいっきし後方に引っ張られた。そのせいで首が絞まったのだ。

 「ご、強盗じゃなくて後藤だよ!!」

  名前を間違えられてそう怒る強盗ではなく後藤さん。ていうか……今、俺この人の気配に気づけなかったんだけど。おかしい。絶対におかしい。なんで気づかなかった。周りへの注意は怠ってない。ならどうやって? こいつの能力か何かか?

 俺は自分の背後をいとも容易くとった後藤さんに少し、驚いた。

 「それで、後藤さん、いきなり何をするんですか? 」

  しかし後藤さんは俺の質問を無視して馬鹿1の相手をする。

 「ねぇ、漆畑君少し、この人借りて良い? 」

 上目遣いで両手を合わせてお願いする後藤さん。馬鹿1こと漆畑? は頬を少し染めて頷く。

 ……馬鹿なの?

 「遠藤君も、他の人も少し待ってて貰えないかな? 私が少し話をするから」

 なぁ、その言い方だと「私が黙らせるから少し待ってて」に聞こえるんですけど。それは俺の気のせいですかね?

  「それに俺の意思は関係ないんですか?」

 「田崎君は黙って着いてくる」

 後藤さんは俺の腕を引っ張りながら他の馬鹿どもから距離をとる。
 しかし不思議だ。彼女の一言でどうして、あの馬鹿共が静かになるのか。……ああ、そっか。後藤さんはクラスのアイドルだったな。男子は遠藤、女子は後藤。それがうちのクラスの中心的な存在だったな。そういえば何で俺後藤さんんに、敬語使ってるんだろうな~って思ってたら、そういう事だったのか。納得だ。

 俺は後藤がアイドルという事を意識して見てみたが、大して映りは変わらなかった。その明るい宝石のような綺麗な瞳が目立ち、ポニテが良く似合ってる。まぁ、ポニテは1番女子が可愛く見える髪型らしいしな。

 「ここまで来れば大丈夫かな」

 何がですか? 声量ですか?

  「ねぇ、後藤君どうしてあんなに集団を乱すことを言うの?」

 あなたが言わせたんでしょうが。

 「真実を言ったまでです。天使から貰ったチートだけで生き抜ける程、世界は甘くありません」

 「それは……そうかもしれないけど。だからってあんな事言う必要はないじゃん。みんな仲間なんだよ?」

 仲間? はっ。笑わせんなよ。この世界に仲間なんて、いやしない。

 「それはあなたの仲間であって俺の仲間ではありません」

 「……」

 その言葉を聞いて後藤さんは黙り込む。
 仲間。そんなの偽りだ。俺は上部だけの関係なんて要らない。俺が必要なのは心から信頼出来る数人の仲間だけだ。それ以外はゴミカスだ。

 「じゃ、じゃあぁ、途中までは一緒に行動しようよ。街につくくらいまでは……。異世界に来たんだし何が起こるか分かったもんじゃないし、みんなで一緒に行動して方が安全だよ」

 それは安全じゃない。安心だ。安心の時が1番安全じゃない。

 「異世界に来てから安全という言葉はとうに捨ててます。それに、他の奴等は足手まといだし。1人の方が安全です」


 「……まるで、分かってるみたいに言うけど、ここは日本とまるで別世界なんだよ。ゲームと本で取り柄た知識なんて意味ないんだよ? そういの全部分かってる?」

 優しい優しい後藤さんの言葉段々と強くなっていく。

 「それに、田崎君いつもそうだよね。……集団を乱す行動をしてさ! 周りの人の迷惑考えた事ある!? ないよね! ないからそいう行動が出来るんだよね。今だってそうだよ! そうやって自分勝手な行動して、みんなを困らせて、何様のつもり!」

 ……くだらねぇ。八つ当たりですか? 見苦しいねぇ。

 「田崎君みたいのがいるから、みんな死んじゃうんだよ!!」

  ……前にも言われたな。その言葉。俺の自己判断でパーティー全滅させて。だけど、今はそんなの関係ない。

 「だから居なくなろうとしてるんじゃないですか。それなのに、勝手にそっちが呼び止めたんでしょ? いいですか、俺は、誰のためでもなく俺のために生きてるんです。そして今、俺の経験がこう言いました。こいつらと一緒にいたら直ぐに死ぬと。俺は自分のためなら周りがどうなっても知りません。それはもう、それをどうにか出来ない奴等の自己責任です。それを俺のせいにするのは、被害妄想です。八つ当たりです。理不尽、不条理、不服、不快です。そっちが勝手に構ってきて、それでこっちの行動を悪く言われるの納得が行きません。この世界はもう学校という社会ではありません。ここ異世界という、今までのルールが通じな所です。そこに、自分たちのルールと、意思を合わせないでください。それは傲慢で、他人に迷惑を掛ける自分勝手です」

 1人で生きる事の何が悪い。いいじゃないか。自立できてて。他人の脛をかじって生きてくよりはまだ。責任も1人なら全部自己責任だし。

 俺の言葉に後藤さんはもう何も言えない状況だった。この程度で何も言えなくなるとは、流石あまあまのアイドルだ。

 「ああ、それと最後に一言だけ。…………この中の誰が死のうが俺の知ったこっちゃありません。以上です」

  そうして、俺が立ち去ろうした瞬間。
 地面が大きくゆれ、唸り出した。亀裂が入り、足元が不安定になる。

 「モンスターか」

  馬鹿どもは後ろで悲鳴をあげる。まるでさっきの威勢が嘘みたいだ。全員立っている事が出来ず次々と座り込む。ちなみに俺はこの程度の揺れは慣れっこだから、特にどうにもならない。

 「まるで、地震が起きたときの外国人と日本人の違いだな」

 日本は日常的に地震が起こる。だから大抵の揺れには動じない。しかし、これがアメリカ人だとどうなるかと言うと、もうパニックだ。地震慣れしていないと相当怖い。それは日本の子供にも言える事だ。生まれて初めて体験する地震は心を恐怖に染める。

 そして今、恐怖は地面から姿を出した。

 「ミミズか?」

 地面から出てきたのはドデカイミミズの様な生き物だった。全身が殻の様な物で覆われている。

 「にしても、狩りがいがありそうだ。鈍った体を久々にほぐすとしよう」

 そうして俺は拳を握り巨大なミミズの前へ立ったのだった。

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