最悪だ。最悪、最悪最悪。
もう死にたい。それくらい恥ずかしかった。
寺島くんが外に出た後、俺は無性にムラムラした。多分原因は寺島くんちの匂い。
すっごい寺島くんの匂いがして、寺島くんに包まれてる気持ちになって…こんなのでムラムラするとかどんだけ変態なんだ、俺。
帰ってくるまでに処理しちゃおうと思ったけど…思ったより早く帰ってきちゃった。
俺は無意識に謝っていた。
ああ、嫌われた。気持ち悪がられた。
寺島くんが近付いてくる。
ごめんなさい。もう一度心の中で謝った。
…え?
気付くと俺は、寺島くんに押し倒されていた。
なに?どういうこと?
頭が混乱してるのが自分でもわかる。
耳元で寺島くんの優しくて安心する声が聞こえた。
それも、囁かれる感じで。
いつも馬鹿みたいに笑いながら明るく物事を話す寺島くんとは別人のように、
落ち着いてどこか甘ったるい声で囁かれた。
ゾクゾクした。
俺の唇と寺島くんの唇がかなさる。
浅い口付けから、深い口付けに変わる。
それは、驚くほど上手で気持ちよかった。
口が離れる。
だめだ、どうしても声が出ちゃう。
こんな恥ずかしい声寺島くんに聞かれたくない。
俺は両手で口を押さえた。
寺島くんはにやけながら触るのをやめた。
嫌だよ、もっと触ってよ。
もっともっときもちよくなりたい。
それを伝えたかったけどうまく声が出ない。
部屋には俺の息づかいと寺島くんの息づかいが響く。
再び俺のモノに寺島くんの手が伸びる。
その手はさっきよりも早く動かされた。
寺島くんの手で、俺は果てた。
あとから罪悪感が襲ってきた。
好きな人の前でイっちゃったよ、俺。
恥ずかしい人間。
寺島くんがなかなか喋らないため、恐る恐る顔を上げた。
そこには顔を真っ赤にして俺を見つめる寺島くんの姿があった。
無意識に俺は寺島くんに抱きついた。
俺を抱きしめながら、寺島くんは真剣な眼差しで俺を見つめながら言う。
もう、どうにでもなっちゃえ。
あとのことなんて考えず俺はそう言った。
寺島くんの笑みが一瞬見えたと思いきや、再び寺島くんに押し倒される。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。