やって来た文化祭。
紅音と麗美はその日も学校を休んだ。
仲良くなったつもりなのか異常に有咲が私のところに来る。
凄い嫌だけど今は仲良くしとかないとね…。
苛立ちを抑え、笑顔で接する。
私達の学校の文化祭は3日間に渡って行われる。
1日目は出し物のみ。
前半は劇の子は遊び、午後は全員で。
2日目は劇のみ。
お店はないけど、クオリティから人気は高い。
3日目はまた出し物のみ。
1日目に出し物をやった人は前半は遊べて、後半はクラス全員で。そして、その後に出店と劇のクラス部門と個人部門の発表だ。
去年から見ると、1日目は生徒達が遊び、2日目と3日目に保護者や他校の人が来るって感じ。
私達は前半が店担当だから準備を始める。
すると…
自ら友達が少ないという柚稀。
確かに琉依と雅の2人以外といるところを1度も見たことがない。
そう言うと、柚稀は「お会計」と書かれた札が置いてある机の椅子に座った。
いつも通りの琉依達。一方、沙月達は…
綾と雪奈はいつも通り元気だけど、沙月とめぐみは少しピリピリしているように見える。
沙月と綾がいなくなり、クラスは文化祭という雰囲気が出て、盛り上がっていく。
何も問題が起きなければいいけど、ねぇ…
微かな不安が残るが、時は進み続ける。
そのあとの1日目は無事に問題無く終わった。
問題は2日目と3日目だ。
保護者や他校の生徒が来ることによって、毎年揉め事が起きているらしい。
去年はヤンキー校の生徒が琉依達と喧嘩になっていた。負けたのはヤンキー校の人達だったけど…
2日目、演劇の発表日。
教室が控え室となり、みんな衣装を着ていた。
私は他の3軍の子のメイクを手伝う為に教室へ。
正直、メイクの腕にはかなり自信がある。
昔からメイクやネイルにハマってて、そこら辺の女子よりは上手くできる自信があった。
普段からメイクをしない柚稀を座らせ、雅が柚稀の顔にファンデーションを塗っていく。
琉依達の言葉に対抗心を燃やしてる…。
会話だけでそう感じた。
馬鹿にしたのに琉依と雅に言い返されためぐみ。
サボったと言い、柚稀に言い返され煽られた沙月。
二人とも"絶対"って言ってるし…。
[只今から10分後に1年1組の劇が始まります。生徒席にいない一般生徒は速やかに戻ってください。]
そう言って、雪奈とめぐみは教室から消え、琉依達は既にいない。
沙月と綾は2人で話して、柚稀は外を見ていた。
この劇の結果であとの話が変わりそう。
そんなことを思いながら、私は教室を出て、体育館へと向かった……。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。