問題が起きたのは、紅音が来てから数日後のことだった。
その日は夏休み前にある文化祭の出し物を何にするかの話し合い。
どうせ、沙月達が好きなものを決める。
そう誰もが思っていた。
学級委員がまとめながら話を進める。
あえて、”沙月”というワードを出した雪奈。
盛り上がってた教室が静かになる。
すると……
私は紅音が意見を出すとは思わなかった。
紅音の発言に沙月達の顔つきが変化したのが見て分かる。
教室の空気に紅音が不思議そうな顔。
投票したが、勿論、軍杯は沙月に上がった。
昼休み、紅音は沙月達に囲まれていた。
そう言い、沙月は紅音の机を蹴飛ばした。
音を立て倒れた机。
紅音の文具や教科書が床に散らばった。
不公平な話に顔を顰める紅音。
沙月が紅音の胸倉を掴んだ。
意地悪く笑うと、手を離し大声で…
その声にクラスはさらに静まった。
紅音が助けを求めるような目で私を見る。
ここで私もいじめられるわけにはいかない。
だから、辛かったけどここは…
この一言しか言えなかった。
こうして、紅音は一瞬にして5軍へと落ちて
しまった……。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。