教えて貰ったこともあり、バスケ部の部長副部長は空閑瑞稀さんのお葬式に参列していた。
私は用事で行けない潤の代わり。
瑞稀さんは本当に良い人だったのが、参列した人数を見れば一目瞭然。
テレビで一度は見たことある芸能人やスポーツ選手も沢山いる。
Infinity劇団も来ていて、柚稀は劇団員として参列して親族なのは隠していた。
お葬式が終わった頃、取材陣から逃げて来た柚稀が私達のところにやってくる。
そう私が思わず心配になるくらい柚稀は酷かった。
取材陣の前で見せていた表情とは全く違う疲れ切った顔。輝かない目。同じ学校だったからこそ私には分かる。
言われた通りついて行くと、1台の車。
その車の運転席には久しぶりに見た澪里さんの姿があった。
それだけを言うと、柚稀は後部座席のドアを開けて私達に中に入るように促した。
少し躊躇したが乗り込み、車が出発する。
そして、車が出発し何時間か経って泣き疲れた沙羅を含み長時間の式に疲れ寝たりウトウトし始めたとき前に座る2人が…
バスケの話になって、向かいの席で腕を組んでウトウトしていた倉科君が瞼を開ける。
その言葉を聞いて、倉科君の動きが止まる。
フロントガラスに反射している柚稀は少し寂しそうな顔だったけど、それよりも嬉しそうだった。
楽しそうに倉科君と燎君との思い出話を澪里さんに話し出す柚稀。
物凄く小さな声を漏らした倉科君。
その表情は何かを思い出したようだった…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!