健人さんには酷いことを言ってしまったような気がするが、正直何も覚えていない。
…というか今のこの状況で全てが吹っ飛んでしまった。
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お風呂を済ませ、夕食を健人さんと共にとる。
今日はカスクートだった。
夕飯にカスクートとは…なかなかに面白いのではなかろうか。
普通は朝食代わりの軽食になる物のはずだが、その辺りは健人さんらしいと思う。
流石好物だけある。
さて、私は歯磨きをした後直ぐに横になったが…
みっともない声をあげた私は悪くない。
何故。
何故健人さんが私の部屋へ??
頭の中が?でいっぱいだ。
うんうんと唸っていると
急。
____迷惑、ですか?
少し悲しそうに七海は言う。
…???
結局隣に居ることを許してしまった。
私自身も誰かの温もりが欲しかったのかもしれない。
そして。
何も言わずに一緒に居てくれる健人さんには感謝しか無かった。
健人さんに余計な気遣いをして欲しくない、という言い訳はよそう。
実際は私が言いたくなかったのだ。
健人さんに、言いたくなかった。
理由はひとつ。
健人さんに知られる事で私を取り巻く環境が変わってしまうのを恐れたためだ。
健人さんはことある事に私に訊ねる。
恋人を作らないのか、と。
私を煩わしいと思っているのだろうか。
この件を知られることによって、疫病神扱いされて追い出されるのではないか。
健人さんに限ってそれは無いが、感情的にならないだけで、遠回しに別れを告げるのではないか。
しかし、そんなことを考えているうちに眠ってしまった。
隣の温もりは私が深く眠るまで離れなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。