第10話

ないん。
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2023/04/08 11:00
健人さんには酷いことを言ってしまったような気がするが、正直何も覚えていない。






…というか今のこの状況で全てが吹っ飛んでしまった。








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お風呂を済ませ、夕食を健人さんと共にとる。

今日はカスクートだった。







健人
すみません、気が利かなくて
あなた
いえ、とても美味しいです
あなた
どちらで買ったんですか?
健人
駅前のパン屋です
健人
たくさんの種類があって飽きませんよ
あなた
なるほど、
あなた
今度一緒に行きたいです
健人
ええ、もちろん






夕飯にカスクートとは…なかなかに面白いのではなかろうか。

普通は朝食代わりの軽食になる物のはずだが、その辺りは健人さんらしいと思う。

流石好物だけある。







さて、私は歯磨きをした後直ぐに横になったが…

健人
失礼しますね
あなた
へ?


みっともない声をあげた私は悪くない。

何故。
何故健人さんが私の部屋へ??
頭の中が?でいっぱいだ。


うんうんと唸っていると


健人
貴女、私に何もさせてくれませんよね。


急。


健人
私に、何か出来ることはないのかと思いこちらに来ましたが…
____迷惑、ですか?

少し悲しそうに七海は言う。

あなた
い、
あなた
いやいや…別に構いませんけど

あなた
ここ、狭いですし。

健人
それについては構いませんよ
健人
ほんの数時間ですし
あなた
でも、

健人
罪滅ぼしです


…???


健人
何も出来ない私にとってこれくらいしか思いつけない
あなた
…って言って私に迫るんですか?

健人
…強制するつもりは微塵もない
健人
だが
健人
貴女はもっと甘えてもいい










結局隣に居ることを許してしまった。
私自身も誰かの温もりが欲しかったのかもしれない。

そして。
何も言わずに一緒に居てくれる健人さんには感謝しか無かった。

健人さんに余計な気遣いをして欲しくない、という言い訳はよそう。

実際は私が言いたくなかったのだ。
健人さんに、言いたくなかった。

理由はひとつ。
健人さんに知られる事で私を取り巻く環境が変わってしまうのを恐れたためだ。
健人さんはことある事に私に訊ねる。

恋人を作らないのか、と。

私を煩わしいと思っているのだろうか。
この件を知られることによって、疫病神扱いされて追い出されるのではないか。
健人さんに限ってそれは無いが、感情的にならないだけで、遠回しに別れを告げるのではないか。









しかし、そんなことを考えているうちに眠ってしまった。
隣の温もりは私が深く眠るまで離れなかった。

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