ないこside
俺が高校2年生の頃
この頃はごく普通の家庭だった
父さんは有輝の方をよく面倒見てたから、俺に対してはちょっと冷たかったけど
特に妹とは仲が良かった
ふざけた会話がほとんどだったけどお互い尊敬していた
学校から家に帰って来たある日、突然そんなことを有輝に言われた
なんでこんなことを言ってきたのかは未だに分からなかった
この時は全然気にしてなかったけど
それから数ヶ月くらい経ったある日
家族全員で買い物に出掛けていた
その帰り道の信号
俺たち歩道側の信号は確かに青だった
なのに、一足早く信号を渡っていた俺は横から何かが迫ってくるのを感じた
これは、轢かれる…って
それなのに…
有輝が俺を庇うかのように前に出てきた
その先はもう言わなくても分かるでしょ?
その日から家庭は壊れた
正確には父さんが、かな
父さんは今すぐにでも俺を殺してしまいそうな、そんな目で見つめていた
父さんは俺より有輝の方を心配してたし、有輝に対しての愛情の方が大きかった
でもだからって、俺に見向きもしなかった訳じゃない
父親としては正しく行動していたはずだった
でもこの瞬間、父さんは変わってしまった
これが、事の始まりだった
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。