ミコトとダリア、謎の男の子は
それぞれ今までの状況を話し合った
アイリスは顔を俯かせた
三人は全員、この重い空気に
顔を逸らした
アイは三人の前に顔を出した
三人はそのまま外に出ていった
外はもう夕方になっており
城下町はオレンジ色に
なっている
城下町は、さっきまでの
活気が嘘かのように誰も居なかった
ザッザッザッザッザッザッ
遠くの方から何十人かの人間が
重いものを持って走っているような
音がする
音が近づくにつれて「ような」
という曖昧な言葉ではなく確信へと
変わっていった
目の前から銀色の甲冑をかぶった
人間が走ってきている
甲冑軍団の先頭を走っている人間は
金色に甲冑を光らせている
「白い服装の妖精、赤髪の少年は
生かすも殺すも好きにしろ!
それでも、『ローキー』だけは
生かして『あの方』へ連れて行け!」
その声と共に甲冑の軍団は
槍を向け走ってくる
アイリスはその気迫に押されたのか
体がすくんでいる
ミコトは二人の前に立った
アイリスは突然
ミコトとダリアの服を掴んだ
アイリスは唱えると
三人がいた地面に三つのヤカンが
現れ、三人は消えた
「クソ、逃げられたか...
まぁいい、どうせもう
ここにアイツの逃げ場なんて
ねぇんだからな」
金色の甲冑を着た人間は
そう呟いた
三人は小さな小屋の中に
出現した
二人はまだ唖然としている
アイリスはそのまま扉から出ていく
二人は何も分からないまま
そのままアイリスの後ろに
ついて行った
三人はオレンジ色の城下町へと
溶けていくように消えていった
次回、「最悪なマジック」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。