第11話

嫌な予感しかしないので一旦断りますが、
176
2023/12/09 03:00
樹「あなたきいて、お願いがある」

「あ、嫌です」

樹「いいからいいから大丈夫」

「私も大丈夫です、(聞かなくて)いいです」

樹「まあまあそう言わずに、こちらお掛けください」

「ね〜いやだ〜誰か助けて」


目があった人たち全員笑ってんだけど。
何わろてんねん。


樹「再来週の現場ついてきてくんね?」

「あ、嫌です。それでは。」

樹「まあまあまあ最後まで聞いてよ!」


立ちあがろうとする私の肩を、樹さんが無理やり押さえ込んで再度座らせる。


「いやいやいや、それ制作入ってるの慎太郎ですよね?100〜200程度の案件にわざわざ私要ります?」
(売値100〜200万の映像という意味)

樹「よく把握してるね!わかった、あなたこの案件に興味あったんだ?」

「ないです。」

樹「そんな顔すんなって、かわいい顔が台無しだな。」

「(無視)…浴室とかトイレ機器のメーカーでしたっけ。」


樹さんが無理やり渡してきた企画書と、コンテに目を通す。

メーカーだけど、リフォームとかもやってるんだ。へー。


樹「演者が女性なんだけど、フォローに入れる女性スタッフがいなくて、」

「…あーなるほど」

樹「水着の上からタオル巻いて入浴シーン撮影するのにスタッフ全員男はやばいっしょ」


思ったよりまともな理由だったので若干感心する。(何だと思ってる)


樹「演者に変なプレッシャーは与えたくないからさ。お願い!あなたしかもう頼めないんだよね」

「…制作の外注入れるにしてもこの(予算)規模感だと利益率厳しいっすもんねー、、」

樹「風磨からはオッケーもらってる。あとはあなた次第で決めてって」


え、そんなんもう、断る理由ないやんけ、、


「わかりました、やります。風磨さんオッケーならなんも言えんですよ。」

樹「おっしゃ!じゃよろしく〜」

「待っていかないで香盤ください〜!」


てかもう根回し済んでるならほんと不毛なラリーだったな?

ため息かましつつミーティングスペースから自席に戻るとニコニコの慎太郎と目が合う。


「なによう」

慎太郎「あなたはいってくれるのめっちゃ助かる」

「私内勤だからこれが最後だからね」

慎太郎「前の案件でもおんなじようなこと言ってたね」

「…。」


本当に!これが!最後なんだから!!!
続きます

プリ小説オーディオドラマ