始業が遅いのは、終業が遅いから。
ん?いや終業が遅いから始業が遅いのかな?
時計を見ると19時45分を回っていた。私も今週の数字をまとめたら帰ろうと心に決めたその時。
オフィスの入り口がまたまた勢いよく開く音がした。
ジェシー「戻りましたあ!!!HAHAHA」
髙地「戻りましたー」
「お疲れ様です」
ジェシー「鹿瀬ちゃん、まだいたの?」
「まだいましたよ〜。でももうそろ帰ります」
髙地「何時に来てる?みんなより早いっしょ」
「うーん、9時台?です。」
髙地「会社にいる時間10時間超えてね?早く帰ったほうがいいよ〜」
ジェシー「こーち〜俺も帰っていい?!w」
髙地「ジェシーはだめだよ!」
「お二人とも働きすぎには注意ですけど、樹さんと慎太郎が待ってましたよ」
樹「あ帰ってきた!」
そうこうしていると、ミーティングスペースにこもっていた樹さんが二人の帰社に気づき声を上げる。
樹「今日行ってくれたロケハンの共有と香盤について相談したい」
髙地「いいよ〜いま?」
樹「いま!」
ジェシー「俺は?」
樹「もちろんジェシーも!」
ジェシー「鹿瀬ちゃんは?!」
「私関係ないですから!w早く行ってください!」
ジェシーさんと髙地さんは奥歯が見えるくらい大きな口を開けてゲラゲラ笑ってる。
仲良いな。
3人が慎太郎の待つミーティングスペースに入っていくのを、見送り座席のPCに向かい直す。
「よし。あと少しだけしたらかーえろ。」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!