「樹さん、北斗さん他作業先に進めて素材差し替え後回しにしてくれるって」
樹「おー!いま風磨から口頭承認もらえたから買っちゃって!」
「はーい」
座席に戻り申請内容に基づいて指定素材を購入する。
樹「書いてあるけど一応、4K素材ね!」
「はーい」
樹さんが私の画面を後ろから覗き込みながら言う。新人の頃購入サイズ間違えたことをいまだに覚えている模様。(忘れて〜ッ)
「北斗さんに送ります、樹さんと風磨さんcc入れておきますね」
樹「助かる〜一旦こっちは納品いけそうだなー、ありがとう!」
「いえ、恐れ入りますー」
慎太郎「おはようございまーす!!!」
オフィスの入り口が勢いよく開く音がしたと思ったら、元気の塊みたいな慎太郎が現れた。
「おはよう」
樹「おはよ、ロケハン行ってきた?」
慎太郎「行ってきた、でも多分ダメだわ」
樹「なんで?」
慎太郎「奥行き全然ないからコンテ通りの画で撮れないよ?」
お二人のやり取りをなんとなく耳に入れつつ、自分の作業を進める。
慎太郎、精算たまってないかな。心配…。後々自分が大変になるからなー。
(自分の分は自分でやるのが原則だけど、遅れすぎると代行しなくちゃいけないんだよ!!)
樹「え、髙地一緒行ったよね?なんて言ってた?」
慎太郎「無理だねって、w」
樹「検討の余地ねーじゃん!じゃもう一個の(候補の)方?」
慎太郎「そね〜だとしたら交通許可必要だからあなたに作ってもらわないと」
樹「あなた!出番だ!」
私ポケモンか何かなの?と思いつつも返事をし振り返る。
「はーい。押印申請出すので、慎太郎は情報ちょーだい」
慎太郎「このあと送る!slackすんわ〜」
「はーい、お願いしまーす」
樹「あれ?髙地とジェシーは?一緒じゃないの?」
慎太郎「あの二人そのまま次の現場行った」
「あーうち受託以外の案件ですね、撮影外注の。」
樹「夜戻ってくる?」
「確認します」
お二人のカレンダーを開き、夜の予定を確認する。
「あ、19時過ぎには現場終わって20時戻りになってますね。赤坂からなので20時前にはここに戻れんじゃないすか」
樹「おっしゃ、了解」
慎太郎「ロケ地変わるなら順番も変わるよね、その辺あの二人と話しておきたいなー」
樹「おけ、打ち合わせしよ」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!