第33話

32 ど う し て .
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2024/05/11 04:26
   丈一郎 side












丈一郎
「ッ…いってぇ、はぁ…」












俺がICUからこの一般病棟に移った日。


早速大橋が俺の様子を見に来てくれたらしい。



俺が意識を取り戻したのは,大橋の顔が

俺の首にあったとき。何をされているか,直接は

見れなかったけど,多分キスされてるのはわかった


その後も襲いかかる疲れと痛みで大橋に声をかける

ことは出来なくて、ただ目を閉じて大橋のコトバに

耳を傾けていた












和也
「っ…はぁ…丈、」












涙をこらえて俺を見つめる大きな瞳。


良かった、大橋が無事でなにより良かった。


出来るなら,その場で起きて大橋と話したかった。



でも,大橋は相当自分を責めてしまう.

それだけはどうしても避けたくて,

大橋はなにも悪くないんやでって伝えたくて





まだ目を覚ましていないフリをした




帰り間際に俺の手に口付けをして大橋は

自分の病室へと戻って行った


その直後,入れ替えるように謙杜が現れて

今に至る感じ。






そこで大吾も意識がないことを知る。


俺は大吾がなんで意識不明なのか知らない。



謙杜から聞けば,地震の被害で動けなくなった

俺達を救い出そうとして火災に巻き込まれたらしい



俺は最年長として年下を2人も怪我させたことを

酷く後悔した.


そしてたった今,謙杜と面会をしている時だった


















和也
「じ、じょう…くん、?」












大橋ッ……


















和也 side
















今日も丈くんの様子を伺おうとして

病室に手をかけた時


誰かの話し声が聞こえた。他の入院してる人かな

あんまり邪魔せぇへんように,さっさと戻ろう.



そう思ってドアを開けたら











丈くんと謙杜が、 話していた。






え…? 丈くん,目 覚ましてたん?いつ?

謙杜、?知ってたん?いつから、?


なんで教えてくれへんかったん、?なんで…


じょうくんッ…!






俺は丈くんのところへ駆け出した

久々に見れたあの顔。久々に聞いたあの声。


生きて,今ここに確かに居て確かに目を覚ましていた


とめどなく溢れてくる涙。視界なんかもう

ぼやけてるどころじゃなくて。


とにかく無事で良かった…って声にならない声で


それと同時に 怒りも覚えた。














和也
「グズ…ア゙ア゙ア゙ッ…じょうっ…丈、、良かったッ…
ホンマに,ホンマにゴメンなぁッ…俺の不注意で苦しめて、ホンマにごめん.守ってくれてありがとう、」



丈一郎
「ッ…大橋、」



和也
「…でもさ,なんでッ…なんで知らせてくれへんかったの!!??」



丈一郎
「大橋!落ち着けって、」

謙杜
「大橋くんっ、まだ治ってへんから…!」



和也
「落ち着けるわけ無いやんッ!!なぁ,なんでなん?!なんで謙杜だけさ知ってんねん!俺…おれ,毎日丈の様子伺ってさ,丈が早く目覚ますようにって毎日気がかりやったのに…!!酷いやん、!」



謙杜
「ちょっと先生呼んでくる、!」










周りなんか見えてなかった。

俺の中で何かの歯車が回りだして止まらなくなった


頭よりも先に体が動く。

ホンマに理解ができひんかった、、、。

なんで,俺だけ知らないで…辛い気持ちになんねん











丈一郎
「大橋っ!!……ホンマにごめんッ!ゴメンな…ッ」












そう言って 強くカラダを引っ張られる



気づいた時には丈くんの腕の中にいた

強く強くギュッと抱きしめられていた。


















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土日なんで1日4話くらい更新するかもです^^

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