そこに立っていたのは…
(あの長い日輪刀、特徴的な髪色…)
大丈夫だった?もう安心だよ!
(甘露寺蜜璃…!!!)
(えうそうそうそマジで?本当に?蜜璃ちゃん?最推し来たんだけどしかも今目の前に。前世での最推しが今目の前にいるって何この奇跡?うわあ〜可愛い〜なんかもうキラキラして見える。脳内美化もあるけど絶対物理的にも光ってる気がする。未来でアイドルやったら絶対売れると思うまずビジュが良すぎるこんな可愛いのにめちゃ強いの何?さっきまでこの世界に転生させた神様恨んでたけど手のひら返すわまじありがとうございますもう死んでもいいです…etc)
私が興奮や安堵諸々で混乱して固まっていると、蜜璃ちゃんが話しかけてきた。
びっくりしたよね。あれは鬼っていう化け物なの。人を食べちゃうから、襲われないように…これあげる!
そう言って、私になにかの袋を渡してくれた。
これは…?
藤の花の匂い袋だよ。これを持ってれば鬼は寄ってこないから。それじゃあね!
そう言い残して行ってしまいそうになる。
ま、待って!
反射的に呼び止める。
蜜璃ちゃんが不思議そうに振り返った。
あの…
…父様と母様を、きちんと弔ってあげたかった。
でも子供の私一人じゃ無理。この辺りには住んでる人も少ない。だから、失礼だなあとは思うけど。
父様と母様を弔いたい…どうか手伝ってください!
そう言うと、蜜璃ちゃんは全てを察したように眉を下げ…それでも、必死に明るく応えてくれた。
…
…もちろんよ。お姉ちゃん、頑張るからね。
家に戻って、父様と母様の遺体を庭に穴を掘って埋めた。
大きい石を墓石として置いて、花を供える。
(…父様、母様。私を守ってくれてありがとう。)
手を合わせ、2人に呼びかける。
その後には、前世での鬼殺隊士への憧れなどはすっかり消えうせていて、ただ、純粋にこう思って、蜜璃ちゃんに話した。
…私、父様と母様の仇を討ちたい。強くなりたいです。
…私の名前は甘露寺蜜璃。鬼殺隊という組織に属してる。
その言葉は…鬼殺隊に入りたい、ということで間違いはない?
はい。
頷くと、蜜璃ちゃんは真剣な顔で問いかけた。
鬼と戦うというのはとても危険なことよ。相手は術を使ったりもする、人では無い化け物。
そんな奴らと、生身で戦わないといけない。
怪我もするし…死ぬかもしれない。そんな世界なの。
これを聞いても、気持ちは揺らがない?
はい。
…あれっ?
何かに気づいたような顔をして、蜜璃ちゃんは耳を澄ませた。
フゥゥゥゥ、フゥゥゥゥ…
(この音、普通の呼吸じゃない。全集中の呼吸…)
その"全集中の呼吸"…どこで身につけたの?
…えっ?全集中の呼吸?これがですか?
えっ?知らなかったの?
父が剣道の師範で、その時の呼吸法って教えられて…えっえっ?
軽くパニックになっている私をなだめ、蜜璃ちゃんは質問を連ねる。
えっと…その呼吸は、いつもやっているの?それとも剣道の時だけ?
剣道の時だけです。あとさっき走った時も…
なるほどね…
…わかった。
私が、責任もってあなたを育ててみせるわ!
っ、ありがとうございます!
あなたのお名前は?
あなたのフルネームです。
あなたの下の名前ちゃん、ね。年はいくつなの?
14歳です。
まだ十四歳かぁ。隊士になるならもう少し大きくならないといけないわね。
よーしっ、ちょっと走るよ!さっきの呼吸使って着いてこられる?
頑張ります!
うん!行っくよ〜!
ダッ!
わっ、速っ…早く追いかけなくちゃ!
こうして、私の修行の日々が始まるのであった…
投票の結果、甘露寺蜜璃ちゃんに決定しました〜!👏👏👏
投票してくれた方々に超感謝です!
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