第6話

五話
2,580
2023/12/01 08:52
あなた
私の包帯は別に大した理由では無かった
あなた
だけど今は違うんだ
私は笑うのを辞め、静かに言葉を発した。
あなた
私にとって包帯は死にたい%提示みたいなものなのだよ
太宰治
太宰治
あなた
私が小さい時は片方の腕に巻いてるだけだったけど、今は全身に巻いてある
太宰治
太宰治
羊に裏切られた頃からだろう?
あなた
嗚呼、そうだね
私は包帯を軽く触ると、苦笑した。
あなた
まぁ、でも治と心中する気は全く無いけど(笑)
太宰治
太宰治
チェッ……、折角誘える好機だったのに……
其処から私はケラケラと笑った。
あなた
あ、そろそろ此処から出ようかな……
太宰治
太宰治
もう?
あなた
否、治時間感覚狂ってるね
あなた
もう軽く一時間は話してたよ
太宰治
太宰治
全然足りないよ〜!
駄々をこねる治を遠目に見つめていたが、やがてまた話そうという約束をして解散した。
あなた
中也くーん起きてくださーい
中原中也
中原中也
スー、スー
あなた
ハァ、
私は中也に声を掛けたが、中々起きない。
私の異能空間に転送させたいけど、必ず自害しちゃうからな〜……
しかも此処の取引先潰さないとだし……
此の会場にいるのは私が転送したもの以外皆、サクラだ。
判りやすい演技、話し方、見た目……
私は探偵社が帰った事を確認した。
あなた
樋口、芥川
芥川龍之介
芥川龍之介
何でしょうか!
樋口一葉
樋口一葉
センパッ、速いッ、ですッ……!
私が二人を呼ぶと一瞬で駆けてきたが、樋口は物凄く疲れていた。
あなた
芥川は中也を車迄運んで
芥川龍之介
芥川龍之介
判りました!
あなた
樋口は私と一緒に残って
樋口一葉
樋口一葉
はい!
二人に指示を出すと、直ぐに行動を起こしてくれた。
中原中也
中原中也
俺はぁ、まだ飲めるぅ〜!
芥川龍之介
芥川龍之介
中也さん行きましょう
中原中也
中原中也
あなたの下の名前〜!
中也は芥川に起こされ、私を見つけると柔らかく微笑みながら言葉を発した。
中原中也
中原中也
愛してるぅ〜!
あなた
……!
あなた
……明日、誂う為のネタを有り難う〜!
中原中也
中原中也
えへへ〜、どういたしましてぇ〜!
中也はそう云うと、芥川に肩を借りながら車へと歩いて行った。
あなた
さて、此処を潰すか……
樋口一葉
樋口一葉
潰すのですか!?
あなた
え、うん
樋口一葉
樋口一葉
何故です?
あなた
此処にいる客全員サクラだよ
樋口一葉
樋口一葉
そうなんですか!?
其れを聞いた樋口は少々驚いていたが、暫くすると何時も通りに戻った。
あなた
樋口にやってもらうのもいいけど、後片付けがな……
樋口一葉
樋口一葉
嗚呼、慥かに……
あなた
矢っ張り、異能かな……
あなた
じゃぁ、樋口は一回離れてくれる?
樋口一葉
樋口一葉
判りました
樋口はフロアを出ていくと、私は息を軽く吐いた。
あなた
ふぅ、
あなた
異能力、
"サーカス"
私の異能により、フロアの客は全員消えた。
私の異能空間で死んだ人達は全員、私以外の記憶から消える。
元々居なかったかの様に、死体と共に記憶も闇に葬られる。
あなた
私の記憶もなくなってくれないかな……
私は呟くと樋口の基へと歩いて行った。
サクラとは、イベント主催者や販売店に雇われて客や行列の中に紛れ込み、特定の場面やイベント全体を盛り上げたり、商品の売れ行きが良い雰囲気を偽装したりする者を指す隠語。 当て字で偽客とも書く。
一応説明です。
また次回

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