私は樋口の背後にそっと近寄ると声を掛けた。
樋口は一瞬息を呑むと何時もの表情に戻り、返事をした。
私達は歩きながら話し、中也達の乗る車へと向かった。
私は後部座席に座りながら、隣にいる中也を軽く見つめた。
樋口の隣には何時の間にか着替えたのか、外套を着用し、腕を組みながら眠る芥川の姿が有った。
私は一瞬驚いたが、微笑むと呟いた。
私は軽く笑いながら手を振ると、廊下で別れた。
矢っ張り、芥川の態度は面白いな……
私は私の肩を借りてまで寝ている中也に溜息を吐くと、痛みで起こそうと、頬をつねろうとした。
中也は急に眼を覚ましたかと思えば、私の名前を呼んだ。
そう云いかけた瞬間に中也が私をベッドに押し倒した。
中也は真剣な表情で私を見つめると、また話し始めた。
私は中也の手によって固定されている両手首を動かしたが、びくともしなかった。
中也は其れだけ云うと、また深い眠りへとついた。
私は解放された両手で顔を覆うと、段々と熱を帯びていった。
その後、私はベッドに中也を寝かせると、静かに部屋を出て行った。
超久しぶりだね
楽しみに待ってくれてた人、本当にありがとう……
これからも頑張るから読んでいってください
また次回
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!