え、ちょっと待って。
ここって浮いてるだけで、一応人間界ってことじゃなかったの?
なんだろう、皆さんも気になっているでしょうが、偶然にしては出来すぎてる気がする……
10年前に母親が亡くなったのは、レオルに当てはまっている。
そしてレオルは双子。
さらに、父親か記憶を消したっていうのが本当なら、家族の事を覚えていないのも不思議じゃない。
この話、、全てレオルに──
ズキッ
突然強烈な頭痛が起こる
頭の中に流れ込んでくる、ノイズ混じりの私の覚えのない記憶。
小さい女の子。これは……私……?
仲良く手を繋ぐ、黒髪で、紅い目をした同い年の男の子。
目の前を流れる、生々しい鮮血。
倒れている、長く美しい黒髪の女性。
周りに転がる、血だらけの武器と人。
私の手は血で染まっている。右手から、黒い稲妻のようなものが溢れている。
「ソラ……生きて……」
聞こえる、女の人の最期の言葉。
私は男の人に抱きかかえられ、雨の中を進む。
さっきの男の子も一緒にいる。
動かない。気を失っているようだ。
「お前達……ごめんな………」
男の人が言う。
そして思い出す、母の言葉。
「宙、このペンダントをどんな形でも良いからずっと持っていなさい。」
「いつか出会う、記憶の為に──」
バタッ
記憶の途切れと共に、意識も途切れた。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。