あまりにも姿の違う彼を見て、僕は流していた涙の存在すら忘れて、息を飲んでいた。
彼が持っているのは禍々しく、黒い本。
まるで、呪術書みたいだ。
まずは思ったことを口にする。
今まで、色んな本憑と話した。
クソみたいなウザったい緑の英雄、
美麗で儚い上下巻の貴族、
時代が追いついていけないような変わり者、
神のように全てを見透かす予言者。
全て、みんなが空気を読んでくれた。
でも、今回は違う。言葉を間違えれない。
少し言葉を強くしてみる。
彼は、いつものように淡々と言う。
あまりの恐ろしさから架空とされ、それでも恐れられる程の魔導書、それが彼の正体。
誰も館長室に入れない、本を見せない理由がそれだとしたら納得がいく。
魔導書への不安。
それが彼。
まるで彼と話の辻褄が合ってないようにも感じるが、質問を続ける。
まるで念を押すように、彼は聞いてくる。
そうすると、彼は僕に破れた切れ端を見せる。
素直に思ったことを言う。
彼は、創設者に図書館長としてここに半分封印された状態となっている。
そんな環境、しかも誰かが、恐れる感情が常に流れ込まれるような、そんな状態がずっと続いている。
僕ら本憑が、遠くでも自分に寄せてる心情がなんとなく理解できるからだ。
それは分離させなきゃやってられない。
彼はそう笑うと、魔導書を書架の奥に隠す。
いつものように、取り繕ったマフアさんは、そう聞いてくる。
なぜだか知らないけど、確かにそういう気がした。
確信に近いような、誰かに導かれるような感覚だ。
彼から、大事に保管されていたであろうメモの切れ端を貰うと、僕は図書館の入口へと歩いていった。
はい、どうも作者です。
気がついたらランキング入りしてましたね〜。
もう中盤の後半、でしょうか。
早いですね。
欲を言えば、もっと色々な人に読んで欲しいですし、☆つけて欲しいですし…
でもまずは完結することが最初です。
更に欲を言えばスポラしてほしいですけど
あと少し、全力で駆け抜けるので、よろしくお願いします٩(๑òωó๑)۶
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。