口にしたせいで脳裏に浮かんだアイツの最期の笑顔を思い出して、私は思わず歯軋りをした。
中身を見せなきゃ問題ない、そう判断した私は持っていた鞄から大きめの封筒を取り出す。
封筒をしまい、私は息を吐く。
関係ないから。
私が君と協力することなんてない、絶対に。
友情ごっこでも何でもすればいい。
そうハッキリと告げ、私は何も言わない蒼翔と死んだ優悠を置いて歩き出した。
地形を考えればどっちに行けばいいのかは何となく分かる。頼ることなんてない。
私は一人で勝つんだから。
まだ温かいのにもう優悠が起きることは無い。
また俺の為に人が死んだ。
クラスメイトを殺した人殺しの俺なんかの為に。
トンっと誰かが地面に着地する音が聞こえて、振り返るとそこにはスマホのライトを俺に向ける涼の姿があった。
間違いではない、確かに前回のゲームで俺はスズに命を救われたことがあった。
…だが、気になる点がいくつかあった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!