と、イミナが私の顔を覗き込んできた。
トントントン、と包丁を動かす音だけがキッチンに響く。
長い沈黙。
数分後、私はなんとかカレーを作り終えた。
上手くできてるか心配だけど…
今は夕方の6時。
きっとみんなもお腹空いてるだろうから、リビングに
持っていくことにした。
❲リビング❳
カレーの鍋をテーブルに置くと、リビングのドアが開いた。
数分後…
何人かがリビングに来て、テーブルの周りに集まった。
ここにいるのは…6人。
あとの3人はどこにいるんだろう…?
盛り付け終えると、みんなでイスに座った。
みんな威勢よく、カレーを頬張っていく。
私は不安になった。
なんせ、他人に自分の作った食べ物を出すなんて初めての
ことだ。
緊張の面持ちでみんなの反応を待っていると、
1人、声が上がった。
.
にこやかだったケンスケの表情が少し引きつった。
.
予想外の反応に、私は少し頬が緩んだ。
ふふ、なんて楽しい時間なんだろう。
でも、こんな時間もすぐに終わってしまう。
私が、人を殺さないといけないから。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。