また、一週間が始まった。
そして、明日はバレンタインデー。最近は、そればかり考えてしまう。
俺は、「恋」とはどういうものか、未だによく分からない。
でも、昨日のユヅへの探り方は、だいぶ危なかったと思う。
本当に「恋」をしている人は、あんなすぐに諦めたりしない、はずだ。
……実は、風の噂で、姫奈ちゃんは、自分のことが好きだと知った。
だから、今、とても不安だ。
もし、LINEが来たら。もし、チョコを渡されたら。
自意識過剰かもしれない。でも、そのとき、俺はどうすればいいんだ。
でも、姫奈ちゃんは、別に悪い人じゃない。
むしろ、いい人だと思う。
とりあえず付き合ってみる、っていうのでもいいんじゃないか。
ふと、昨日のユヅとの会話を思い出す。
『お互いに、同じくらい相手のことを想っていないと、しんどいしね』
そう言ったときの、ユヅの顔を思い出す。
……姫奈ちゃんに、そんな思いはして欲しくない。
悲しく、寂しい思いは______
ま、その時までは気にしないでおこう。渡されたら渡されたときだ。
気にしすぎないのが俺の取り柄だって、理久も言っていたし。
急に名前を呼ばれて、飛び上がる。
しまった。授業中に、しかもこの先生の授業で考え事だなんで、とんだ失態だ。
大丈夫。途中までは解けている。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。