ほんとに何も知らなかった.......
怪我のこと、手術のこと、
活動休止のこと
いつ来てもいいように、準備をして
それと、心の準備もしないとなって.......
彼が私の家に来たのは
雨がひどくて憂鬱な夜だった
ピンポーン
扉を開ければ雨に濡れてる彼
ボッーとしてたのか、下を見てる
彼の手を引けば
ぱっと私の方に顔を向けた
そう言って今自分に出来る精一杯の笑顔を見せた
ほんとに元気がない彼
手に傘はあるけど、ささなかったんだなって
すぐにわかるくらい濡れてた
前言ってたよね、知らない町とかで夜散歩するのが好きって
私もよく辛い時とか、ぼーっとしたい時1人で散歩する時があるし、
相当スングァンくんが辛かったんだって
聞かなくてもわかった
彼が私の手からタオルを取ろうとしたから
私はサッと彼の頭を包んで髪を拭いてあげた
平然を頑張って装ってたけど.......
こんなこと聞かれたら、私もなんも言えなくて
手が止まった
彼の顔を見ると、すごく辛そうな顔をしてるから私まで泣きそうになってくる
ぱっと後ろを向いて涙をぬぐった
後ろからそっと、彼に包まれた
優しく彼が笑うから、もっと込み上げてきて
そのあとはお風呂に入って、彼の好物をつくって食べた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。