そっと蘭の手を私の首へと持っていく。
蘭がゆっくり私の首に力を入れる。
蘭の手が離れ酸素が体内へと取り込まれる。
じっと蘭を見つめる。
蘭も私を見つめる。
今思えば洗脳だったのかもしれない。
ただ、私にはその道しか残されていなかった。
お父さんの大声に肩が揺れる。
何、言ってるの…この人……
やだっ!!
1人になりたくないっ!!
必死に蘭と竜胆に手を伸ばすがお父さんに全て阻止される。
い、やっ……
──────
「あの子たち親に捨てられたんでしょう?可哀想にねぇ……」
「ちょっと聞こえるわよ!」
「子供よ?気にしてないってw」
「実の親に裏切られるなんて……ねぇ」
信じてたのに…蘭のことも竜胆のことも……大切だと思ってたのに………
捨てられるんだ。
裏切、られた。
あったか、い…
真一郎くんが私の頬に伝う涙をそっと拭う。
悪い、夢……なのかな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。