第24話

夏も終わり、アレも終わり
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2024/03/09 18:41
「明日はまた沢山話せたらいいね」なんて
ジミン君は慰めてくれたけど


結局それは叶わず
私の1週間は終わってしまった



ただ私も思いのほか忙しくて
ドタバタと忙しない夏休みの日々を送っていて






それでも、先生を思い出さない日はなかった





「はぁ、疲れた…」

ご飯も食べてお風呂も入ってあとは寝るだけだと
ベッドに飛び込みゴロゴロしていると

ふと視界に入ってくる
机の端にかけてあるビニール袋


よく見ればあれはジミン君にお菓子を奢った時に
自分の分も、と買った時のやつで


「トッポ…」

あの雨の日に先生から貰ったお菓子

雷があって結局出来なかったけど
告白しかけていたことを思い出す


「ほんと、どんだけ好きなんだろ…」


自分で言っていて少し鼻で笑ってしまう

もう寝よう
今こんなこと考えても仕方がない




こんなのの繰り返し







あれから一日少しでも机に座って
教科書と向かい合うのが習慣になって

今じゃ教科書の予習復習は完璧

予想外の効果




それもこれも全部
先生にいい所を見せたいから




新学期、どうしようか

来て欲しい気持ちも欲しくない気持ちも両方あって



それでも日々を過ごしていれば時間は流れて
ついに始業式


校長先生の話も

生活指導の先生の話も



何も耳に入らない




少し眠そうに
たまに欠伸を我慢しているような表情

少し鼻から落ちた眼鏡をクイッと上げて見せる仕草





先生だけを見ていた










その日も放課後、あのベンチで先生を待ってみた


二学期最初の日だったからか
午前中で終わったからか


先生は来なくて



でも



次の日も次の日も



どれだけ待っても
もう先生はここに来なくなった












「〇〇ちゃん、先生まだ来ない?」

その日の放課後もベンチに座っていた私に
ジミン君が声をかけてきた

ジミン君は週3ペースで来てくれて

そのおかげで先生が来なくても
肩を落として帰るような気持ちが少しだけ楽になる



「うん…。もう来てくれないのかな」

ははっと声を出してみるけど
どうも上手く笑えない


「もう10月になっちゃったなぁ。担任じゃないからここに来てくれなきゃ話したり、顔を見ることすら難しいのに。」



意地悪だよね、なんて言いながらも

分かってる




先生はそうしたいんだって


はやく私の気持ちが変わってくれることを望んでるって




「…」

無言のまま私の隣に座るジミン君



「やっぱりこのままじゃダメだよ…。ユンギ先生と話に行こう。今なら職員室にいるかな、」

私の手を引いて連れていこうとしてくれるけど

私はそれをやんわりと払う


「ううん、いいの。」

「でも!じゃあ諦めるの?」

「そういう訳じゃなくて…」


この夏休みの間、ずっと考えてた


先生を困らせないようにするには

私はどうすればいいのか




「ただの生徒でいる。沢山いる生徒と同じような、
村人Aみたいな。」


それが、私にも先生にも一番なんだよね?

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