第16話

決戦
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2019/02/06 13:42
キーンコーンカーンコーン



放課後のチャイムが鳴る。





















決戦だ。




















作戦はあらかじめ、和人と雨音、莉乃に
教えてある。


まず、私と和人は帰ったふりをして教室から出る。





桐島 和人
じゃあなー!
クラスメイト
おう!また明日!
桐島 和人
渚!帰るぞ!
潮目 渚
うん!
私と和人は、雨音と莉乃にアイコンタクトを
取ってから教室を出た。






















桐島 和人
...お前、さ。
廊下で俺は、渚に問いかけた。
潮目 渚
ん?
桐島 和人
本当にやる気...?
潮目 渚
うん。
桐島 和人
で、でも、あの作戦は...
潮目 渚
「私が危ない」って
言いたいんでしょ?
桐島 和人
あ、あぁ。
今回の作戦は、渚が一人で実行するものだった。


「私だけで良い。」

「皆が傷付かなくても良いように。」


渚は、そう言った。
潮目 渚
私は大丈夫。
桐島 和人
大丈夫ってお前...
潮目 渚
大丈夫だから。
渚は震える声で、そう言った。

まるで、自分自身に言い聞かせるように。


そして、俺の目を真剣な眼差しで見つめて、
潮目 渚
私に何があっても、助けないで。
と言った。
桐島 和人
え...
潮目 渚
もちろん、私は和人に頼ってる。
信頼してる。
潮目 渚
でも、それだけじゃ駄目なんだよ。
潮目 渚
和人が良くても、私が満足しない。
潮目 渚
私は全て、自己満足で動く。
潮目 渚
皆は助けて。
潮目 渚
でも、私は助けないで。
潮目 渚
お願い...
俺は少しためらった後、ゆっくりと頷いた。


本当は嫌だ。

本当は、皆よりも先に渚を助けたい。


けどそれは、今の渚の顔を見て言えるのか?


俺には無理だ。







ガタン!






教室の中から机の倒れる音がした。

それと同時に、園風と美野木からメールが届く。



“始まった。”



渚はそれを見ると、俺に背を向けた。
桐島 和人
...頑張れ。渚。
俺がそう言うと、渚は黙って頷き、教室へ入って
いった。





















穂鷹 愛梨
あはは!良い気味ね!
岸野 加那
っ...
真中 鈴音
あはは!
始まった。


女王たちは私と和人がいなくなった瞬間、岸野さん
をいじめる。


だから、それを狙った。
潮目 渚
そこまでだよ。
穂鷹 愛梨
真中 鈴音
な、何で...
潮目 渚
何でだと思う?
真中 鈴音
...は?知らないし。
真中はそう言いながら、少し後ずさった。
潮目 渚
そ。なら安心だよ。
“雨音と莉乃が協力していることがバレていない”
ことがね。
岸野 加那
潮目さん...
岸野さんは目に涙を浮かべていた。
潮目 渚
痛かったね。
私はそう言いながら、岸野さんへ歩み寄り
涙を拭う。
岸野 加那
うぅ...
相当、怖かったのだろうか。

岸野さんは大量の涙を流した。


私は、そんな岸野さんをぎゅっと抱き締める。
潮目 渚
ごめんね。
そう、一言岸野さんに伝えてから立ち上がった。

そして、女王を睨む。
穂鷹 愛梨
な、何?やる気?
潮目 渚
うん。やる気だよ。
穂鷹 愛梨
はぁ?私に逆らうつもり⁉
その通りです。

私はそんな意味を込めて、微笑んだ。

その笑顔はきっと、周りからしたら
怖かったと思う。


「何でこんな時に笑っていられるんだ」と。


違うんだ。

こんな時だからこそ、笑ってるんだ。


自分の、大きな恐怖を押し殺す為に。
穂鷹 愛梨
な、何よ...!!生意気ね!
穂鷹 愛梨
何なのよ!あんた!!
穂鷹 愛梨
私に復讐でもする気⁉
穂鷹 愛梨
暮斗くんのことは...
穂鷹 愛梨
あんたがいけないのよ!あんたが!
穂鷹 愛梨
あんたが生きてたから...!!
女王はそう言って、必死で私を引き下がらせ
ようとした。

しかし、それが裏目に出た。
クラスメイト
え?
クラスメイト
暮斗くんの事故って、普通に
赤信号の横断歩道渡ったんだよね?
クラスメイト
何で潮目さんが出てくるの?
クラスメイト
女王も必死だし、もしかして...
クラスがざわつき始める。

「葉連暮斗の事故は女王が引き
起こしたのではないか」と。
穂鷹 愛梨
ふざけるな!!
女王は怒鳴った。
穂鷹 愛梨
私は暮斗くんを殺したかった
んじゃない!!
穂鷹 愛梨
私が殺したかったのは、潮目だ!!
あーあ。言っちゃった。
クラスメイト
...え?殺したかった?
クラスメイト
うわ。まじで?
クラスメイト
犯罪じゃん。
クラスメイトは口々に女王の悪口を言う。


人って、本当に汚れてるよね。


今まで怖くて何も出来なかったのに、その人に
危機が訪れると何でも出来てしまう。


本当、汚い。
穂鷹 愛梨
っ...!!
女王は顔を真っ赤にした。






















さぁ、女王様。






















あなたの椅子を、私にくださいな。

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