和人はそう言って目を丸くする。
園風さんはそう言って呆れた顔をする。
美野木さんはそう言っていたずらっぽい笑顔を
浮かべる。
園風さんがそう言うと、園風さんと美野木さんは
私と和人の向かいにある席に腰を下ろした。
園風さんはそう言って、私たちにスマホを
手渡した。
すると、スマホにある動画が流れる。
音は無い。
けど、見るだけで良かった。
女王が、万引きをしている動画だった。
2週間前か...
万引き。
それは、校則どころか法律に違反する行為。
窃盗罪だ。
私たちの年齢からすると、少年院行きもあり得る。
二人が良い人で良かった。
私がそう言うと、和人は呆れた顔をした。
...もう、決まってる。
『明日だよ。』
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月明かりが、暮斗の病室を照らす。
視界が滲んでいる。
「渚なら出来る。」
「行ってこい。渚。」
「前へ、進め。」
暮斗が言った、あの言葉。
大丈夫。
和人がいる。雨音がいる。莉乃がいる。
だからきっと、大丈夫。
私は、服の袖で涙をごしごしと拭った。
暮斗。
早く、起きてよね。
平和な学校で、待ってるから。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。