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海斗君が黒銀の不良共をぶん殴った後。
騒ぎを聞きつけた黒銀生達がわらわらと現れ、流石にこれはヤバいと逃げて、川近くの橋の下に至る。
先程の事を思い出してなんだか照れ臭くなる。
いつもの喋る間もなくキッパリ言われる。
家業上、荒事は慣れているが、こう、生々しい怪我は心臓に悪い。
ごそごそとカバンを探る。確かこの辺に……。
得意気に取り出した軟膏の蓋をパカっと開けて見せる。
するとその見た目(緑と茶色のグラデーションカラー)に恐れ慄いたのか、海斗君は一歩後ろに下がった。
かまいたちとは。
かまいたちはイタチに似た妖の一種。
3匹で行動し、1匹目が転ばせ、2匹目が切りつけ、3匹目が薬を塗るとされている。
かまいたちに付けられた傷は不思議と傷まず、知らぬ間に出来た傷をかまいたちにやられた、と言ったりする。
まるで警戒する猫のような目をする海斗君。
失礼な。確かに凄い色してるけど。
ぬりぬりと海斗君の腕に薬を擦り込む。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。