ーその頃の生徒会室ー
【 暇 なつ side 】
俺は今、とんでもなく動揺している。
それを隠すためにポーカーフェイスに必死だ。
ついさっき、あの女嫌いないるまがあなたの名字の頭を撫でた。
あの行動が、俺には理解が出来なかった。
俺自身、なんでこんなに動揺してるかは分からないけれど。
いるまに聞いてみる?
でもそんな事をしたら、俺があなたの名字のこと好きみたいになるよな。
これさっきも考えたよな。
…別に好きじゃないし。いるまに誤解されたら困る。
こいつ、こういうとこは本当によく見てると思う。
誤魔化すのも大変、それが通るかはいるまの気分次第だと思うけど。
ガララッ
いるまに怪しまれそうになったところで、タイミングよくらんが入ってきた。
珍しく救われたわ、後で何か奢ってやろうかな。
生徒会室をぐるりと見渡してはそう呟くらん。
俺が答えるのも何かおかしいし、いるまがどんな反応をするのか気になるし、俺は黙っておこう。
……なんだ。
そこで名前は呼ばない感じ?
よく分からんけど…ま、これからは頻繁に顔出すようにしよ。
そう言っているまは立ち上がり、自分の机に座った。
ソファで1人になった俺は横になる。
らんは本当に優しい。
あいつは俺より無理してんのに、他人の心配ばっかり。
こっちが不安になるから、俺も時々聞くようにはしてる。
いつか、6人でゆっくり遊びに行くか……。
……まさかの俺と同じこと考えてるとは。
同じ、とか言うと少しめんどくさいことになりそうなのでやめておくか。
生徒会メンバーと……みことと、俺。
俺はらんといるまに聞こえないような声で、無意識のうちに呟いていた。
Next …
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アンケート
???
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!