蘭side
あれ、なんか湊禿の様子がおかしいな…
それに………なんか、怯えてる…?
ずっと珠孤豊に抱きついてるし、怯えたような瞳で俺を見つめてる
珠孤豊以外の人間を拒絶してる……?
もしかして、何かの病気とか……?
どうしよう……心臓がドクドクうるさい……
「拒絶してる」という言葉が、俺の頭の中をグルグルとループしてる
珠孤豊はホントに優しいな…
腹の底では、俺のことを恨んでたりしてね…
でも………恨まれても、なにも文句は言えないな
だって、湊禿をここまで追い詰めたのは………俺だから
だから………こんな風に拒絶されるのだって、本当なら受け入れないといけない
受け入れないといけない………のに………
ガラガラ…
俺は、逃げた
あの場にいるのが、すごくツラかった
でも………湊禿は、もっともっと………ツラい思いをしたんだよね…?
一人で、俺たち五人の世話をして………
結局、耐えられなくなっちゃって………
………本当は………〝わかってたのかもしれない〟
でも、怖くて………言い出せなかった………
俺が言い出せなかったから、湊禿が……
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!