リクエストありがとう!
※死ネタ注意
苦手な方多いかもです
ただ頑張ってるので読んで欲しい
桃視点
この世界はつまらない事ばっかりだ。
何だ急にって思う人も居るだろうけど、そう感じることってあるでしょ?
少なくとも俺は常に思ってる。
楽しそうに笑ってる人を見ると嫌気がさす。
俺の世界は真っ暗闇だっていうのに。
だから、いっつも夜な夜な散歩をしてる。
仲間に会えたりしないかな〜なんて思ってたり。
仲間に会えたり、とか呑気なことを考えてたけど、いざ誰かに話しかけられると話は別だ。
そもそも、一体何なんだこの人は。
すごく不思議な感じがする。
不気味に笑ってて、ミステリアスというか。普通の人間と少し違うような感じ。
一人称りうらなんだ。
なんか見た目に反して子供っぽいのかな。
何この子。ほんとに意味分かんない。
子供っぽい割にホストみたいな顔してるしさ。
補導とかされて当たり前みたいな反応してさ。
不思議にも程がある。
なんの躊躇いも無く俺の手を掴んで走り出した。
前を走るその背中が、どこか寂しく感じて。
顔は笑っているけれど、孤独に溺れて、誰にも期待をしていないような感じ。
もしかして、俺と一緒なのかな。
だから話しかけてくれたのかな。
そう思った瞬間、りうらを守ってあげたくなって、前を走るりうらの手をぎゅっと強く掴んでみる。
すると、りうらは走る足を止めた。
何が面白いのか分からないけど、とにかく楽しくて。
今度は俺がりうらの前を走ろうと思ったのだが、りうらは目を見開いて再び足を止めた。
りうらはそう言って泣き叫んだ。
大きな目から、大粒の涙を零しながら。
俺は訳が分からなくて硬直してしまった。
ひたすら考えて出た言葉はそれだけだったけれど、りうらは必死に何かを否定した。
俺は訳が分からなかったけれど、なんとなく、りうらが落ち着く方法はこれじゃないかと思いついた。
繋いでいた手を一旦離して、腕を広げて声をかける。
りうらは素直に俺の腕の中に収まった。
思いのほか細くて華奢な体を、包み込むように抱きしめる。
春だけど、りうらの体は氷のように冷えきっていた。
いや、心が冷えきっていた、という方が正しいかもしれない。
人間の温もりを感じなかったから。
しばらくすると、りうらは泣き止んだ。
そのタイミングで声をかける。
もう一度手を繋いで、横並びで堤防に向かった。
堤防に着いて、上に登ってみる。
すると、海は星の光を反射してキラキラと光っていた。
堤防に腰掛けながら、他愛もない話をしていた。
ふと、俺はある事が気になった。
りうらは、儚げに笑った。
触れたら消えてしまいそうなくらい、細い蜘蛛の糸で繋がれたような意思の弱さだった。
自虐をしているような笑顔で、見ていると苦しくなってしまいそうだった。
りうらはそう言って、指パッチンを三回してから歌い出した。
終電はもう無いよ。
これからどうしようかなんて、迷い込みたいな二人で。
そんな歌詞から始まる、俺の大好きな歌。
りうらが歌い出した瞬間、言葉を失った。
爽やかで、イケボで、当たり前のように上手くて。
嫌なことを全部忘れられるくらい、俺はりうらの歌声に惚れ込んでしまっていた。
りうらの声があまりに綺麗で、一番で終わりだったはずなのに、聞こえていないはずのその先が頭の中で響いていて。
夢のような時間は、一瞬にして散っていってしまった。
何が起きてるか分からない。
りうらは施設の孤児で、本来出かけちゃいけない時間に夜道をふらふらしている。
それで何度も怒られた。
今の所こんな感じであってるのだろうか。
りうらの表情が暗いことくらいは分かる。
さっきまでのヘラっとした態度や表情が、一瞬にして無くなった。
俺とりうらの会話を許そうとしない白髪の男性を、少し大人な青髪の高身長の男性が引き止める。
その二人はきっと俺よりもずっとりうらの事を知っているはず。
それなのに、どうして俺がりうらの良き理解者って思うんだろう。
きっと二人の方がりうらを理解しているだろうに。
許可を得たりうらが、少しずつ俺の方に歩いてくる。
試しに腕を広げてみると、さっきと同じように吸い込まれるようにして俺の腕の中にすっぽりと収まった。
最期に見たりうらの顔は、満開の夜桜のように、美しく咲いていた。
めっちゃ長いめっちゃ長い
まだ書きたいから一旦切ります
出来れば続き今日中に出したい
是非とも考察とかしてみてねん
色々散りばめといたから
スクロールお疲れ様でした
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!