第99話

6話
698
2023/06/18 08:14
あなた
治くん…?
彼が此処に居ないことは判っていた。
だけど、もしかしたらという思いが消えてくれない。


取り敢えず私は探偵社へ向かった。
治くんが居る可能性は低いと思うけど。でも、乱歩さんに頼めば直ぐに見つけてもらえるかもしれない。
怖くて堪らなかった。
治くんがこのまま消えちゃうんじゃないかって


私のそばから離れていっちゃうんじゃないかって




あなた
あれ?
あなた
もしかしたら、治くん…
こんな気持ちだったのかなぁ…
そう考えてみると、
私は思わず涙を溢した。
不安で

不安で

仕方がなくて……
どうしようもない気持ちを抱えて歩いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
in武装探偵社 扉前
あなた
…ッ___
先程からドアノブに手をかけて、引いてを
繰り返していた。
扉の向こうに治くんが居るかもしれない

笑顔で迎えてくれるかもしれない


もしそれが出来たら、れだけ安心できるだろう。



でも、そんなものは希望にしかすぎないことを知っている。無駄に希望を抱けば抱く程、後に後悔することも。

だからそんな希望は捨てなければならない。
そんなことは判っているのに、
そんな単純なことが出来なかった。

その時、ガチャと扉が開いた。

私はまだ開けていない。中の誰かが扉を開けた。


私は扉の隙間から見える人物を
前のめりになりながら待った。
江戸川乱歩
君、遅すぎ。
何時まで其処そこに居る心算つもり
あなた
あ…乱歩さん…!
江戸川乱歩
僕は用事あるから外出するね。
そう言って乱歩さんは私の横を通りすぎた。

あなた
あ!!乱歩さん、待ってください!
江戸川乱歩
何?僕、忙しいんだけど。


あなた
あ…
その時、私は思わず
乱歩さんに聞くことを躊躇しそうになった。

あなた
な、何でもないです。
私は乱歩さんに聞こうと思ったそれを躊躇した。
江戸川乱歩
太宰から伝言。
「港で待っている。」
あなた
へ?
江戸川乱歩
まったく、名探偵である僕に伝言させたんだ。高く付くんだからね?
あなた
…!!港…
ありがとうございます!


私はその伝言を聞いて直ぐ、港へ走り出した。

あなた
治くん…待っててね…
その大切な想い・・を胸に抱えながら。



ぬっしー
突然ですが…次回最終話です✋

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